新しい痔核手術の開発

わが国の痔核手術の主流は、痔核を縦方向に切除する結紮切除術です。 肛門科専門医の間では、さらに痔核を切除した後の傷を縫い合わせる『半閉鎖式結紮切除術』を採用している医師が多くいます。 ただ、この手術は輪郭が書いてない紙から切り絵を行なうような、数多くの経験と才能が必要です。 縫い合わせた傷が開いてしまえば、術後の出血や痛みを増すことにもなりますし、肛門狭窄という重大な後遺症を残す危険性もあります。 それで『半閉鎖式結紮切除術は熟練が必要である』などと、学会などでも評価され、 「どうせ縫っても、途中で開いてしまうのだから、私は縫いません」 などと公言する専門医もいらっしゃいます。 私は、痔核というのはありふれた、ポピュラーな病気なんだから、特別の才能や数多い症例数を経験できるような環境になくても、普通の外科的技術を持った医者が容易に習得できるのがスジではないかと考えています。 また、お師匠様のところに通い詰めなければ学べないようでは、標準的な手術とは成り得ません。 そこで三年くらい前から、様々な学会や研究会でビデオを使って新しい術式である『トライツ筋温存式結紮切除術』を発表してきました。 しかし、外科医というのは職人気質から『自分の手術で何も困っていないから、今更新しい手術を導入するのもどうか』と思っているのでしょうか、ほとんど反応がありません。 そこで、これから痔の手術を学ぼうとしている医師に新しい手術法を伝えるためにYoutubeを使うことを思いつきました。 まずは、イラストを使って手術の原理と成績を示したビデオを作成しましたので、ご覧ください。 https://youtu.be/xCwOySy85kQ さらに手術ビデオから学ぼうと思われる方には、『サルケツチャンネル』に、いろいろな形の痔核をトライツ筋温存式結紮切除術で行っているビデオを集めました。 こちらは、出血シーンもありますので、自信のある方だけどうぞ。 https://www.youtube.com/channel/UC9N70hg_nCHTHksGoDwPe7w
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ジオン(ALTA)と手術の併用療法についての私見

痔核が大きくなって、肛門外に脱出し、押し込まないと戻らない(腫れている場合を除く)ようになると、薬の治療では限界となってくる。 もちろん、痔核は良性の病気だから 「ワシ、気にせんもんね、毎朝押し込んだらええもんね」 という方は、『痔核と共にある人生』を楽しんでもらえばよい。(;^_^A そうでない方に行われている治療法の代表的なものに、手術療法とジオン(ALTA)による効果療法がある。 手術は痔核を切り取ってしまうわけだから、確実な治療法である。 しかし、痛みや出血、術後の狭窄などの後遺症など、術者の腕前が大きく左右する治療法である。 ジオン(ALTA)は、痛みを感じる神経のない内痔核部分に注射して炎症を起こし、治る過程で痔核を硬化させて縮める治療法である。 Dr.OKはジオンが発売される前に臨床試験医として使ってみたので、注射の翌日には痔核が出てこなく痛みも無いという『奇跡的効果』に驚いた経験がある。 しかし発売後に製薬会社が調査した成績では、1年後の再発が14%程度となっているので、確実な治療法とは言えないのが欠点である。 また最近、添付文書の「重大な副作用」の項目に「直腸膣瘻」(ジオン注射部位と膣の間に穴があいて、便が膣から漏れる)が追記されたので、より慎重な取り扱いが必要である。 痔核が脱出するくらい大きくなると、肛門の外の外痔核と内部の内痔核が一体となって脱出する場合がほとんどである。 ジオン(ALTA)は『脱出を伴う内痔核』に効能があるわけだが、それでは十分に脱出症状を治すことができない。 そこで、内痔核にジオン(ALTA)を注射すると同時に、外痔核は手術的に切除するという併用療法が行われている。 ジオン(ALTA)のは、痛みを感じない内痔核に注射して脱出を治療し、翌日から痛みも腫れもなく日常生活に戻れるのが最大の長所なのだが、わざわざ痛みを感じる外痔核を切除するのでは、本末転倒のような気がする。 また手術に不慣れな医師が外痔核に対して稚拙な手術を行ったり、必要のない外痔核切除が行われている事が懸念される。
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痔の手術は必要か

痔というのは肛門の病気全般をさす言葉なので、今回はその中でも一番多い痔核(いぼ痔)についてのお話。 究極の選択は『手術したくなければしなくても良い』である。 ただ、痔核がどんな症状であるかによって、選択肢も変わってくる。 急に腫れて痛むような、血栓性外痔核やかんとん痔核は薬の治療で治る。
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【急に肛門の一部が「ぷくん」と腫れて痛むのが、血栓性外痔核】
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【肛門の広い範囲で腫れて戻せないのが、かんとん痔核】 手術するかどうか迷うのは、脱肛である。 腫れていないのに排便時や、時には長時間歩いた時に肛門の外に『いぼ』のようなものが出てくる。
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【いきむと脱出するのが、脱肛】
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【押し込むときれいに戻るのも、脱肛の特徴】 排便習慣や生活療法の改善によって、症状が無くなることも多いけど、『上手く付き合う』必要がある。 「いぼ痔と付き合うのは嫌だ」 と考えるなら、切り取ってしまうのが手っ取り早い。 ちなみに、保険診療で排便や生活習慣の改善のために長時間説明をしたところで、余計の診察費はいただけないので、勢い手術に傾くのは医者の良心に任されている現状がある。 医者が「切らなきゃ治らない」と言った痔が、切らずに治った。という「患者さんの喜びの言葉」を載せている、有名な通信販売の薬の類は、血栓性外痔核やかんとん痔核を『切らないと経営上問題がある』と判断した医者の事情もあるのではないかと、私は疑っている。
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【脱肛するいぼ痔に合併する切れ痔は治らない】

痔核が大きくなって肛門の外に出るようになると、まれに痔核の根元に傷ができて切れ痔(裂肛)を合併することがあります。 裂肛の大部分は薬の治療で治りますが、脱肛合併の裂肛は排便するたびに傷が引っ張られて裂けるので治りません。 今まで痛くなかった脱肛が戻す時に激痛を伴うようになったら、薬の治療の限界です。
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【便潜血だけで大丈夫?】

健康診断で行われている検便。昔は寄生虫検査が主目的でしたが、最近は大腸癌の早期発見のための便潜血反応(便に含まれる血液を調べる)が行われています。 それでは、毎年便潜血検査を受けたら大腸癌は完全に予防できるのかというと、そうではありません。大腸癌(それも、進行癌)のうちの1割が、便潜血反応では見つからないといわれています。 肛門から出血する、お腹が張る、お腹が痛む、便の調子がおかしいなど、何か大腸癌を疑わせる症状があれば健康保険を使って(3割負担の方で7000円程度)大腸内視鏡検査を受けることができます。 ご心配な方は、ぜひ一度大腸内視鏡検査を受けることをお勧めします。
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特選!Dr.OKのまじめなおしりのはなし58 肛門科消滅の危機?①

日本の保険医療制度は、世界に類を見ない 『国民のだれもが平等に、世界最高水準の医療を安価で受けることができる』 という優れた制度である。 患者さんは、どこの医療施設でも自由に受診できることを原則としているのだが、近年その制度が高騰する医療費の原因にもなっていると考えられている。 たとえば『朝起きたら、ちょっと頭が痛い』としよう。 Dr.OKなら、薬箱の頭痛薬を飲んでみる。 人によっては、近所のかかりつけのお医者さんに診てもらう。 極端に心配性で『そういえば、伯母さんは脳出血で手遅れになったんだ』なんて経験の ある人は、速攻脳外科にかかり「MRIを撮ってくれ」と要求する。 脳外科の病院も大枚はたいてMRIを導入したばっかりだし、 「万が一にも患者さんの要望に従わずに大変な病気を見逃したら訴訟問題だ。」 なんてことでMRIを撮ると、保険から数万円が支払われることになる。 似たような例は、どの診療科でも起こっている。 国民の人口構成が若者の多いうちはまだ良い。 病気になりにくい若者が月々たくさん保険料を納めてくれて、保険を使う病気しがちなお年寄りは少ないという、昔の日本の姿である。 最近は、お年寄りが多く若者が少ない。 バリバリ働いて保険料を納めてくれる若い世代が少ない割に、病気になって保険を使うお年寄りの割合が高い、現在の日本の状況である。 今までと同じような体制では保険医療制度が資金面で苦しくなるので、まず考えれるのは 『軽い病気は自分で治せ』 という方針。 昔は胃潰瘍の特効薬だったガスターが、容量の少ないガスター10(病院では20を使う事が多い)を薬局で売るようになったのも、この一環である。 次に考えられるのは、 『何でもかんでも大病院行ったらあかん』 という方針。 最近、病院では紹介状がないと数千円の特別料金がかかるようになったのも、この一環である。 ではここで… おしりが腫れて痛くなったらどうするか? ① テレビで『痔ぃにぃ~は、ボ〇〇ノォルゥ』とCMが入ったので、薬局に行ってさっそく購入。 ② いつもかかっている内科の先生に相談したら『これつけなさい』と診察もせずに処方された薬を塗ってみる。ちなみに保険診療で薬局で買うより安かった。 ③ 意をケッして『肛門科』という文字が看板に書いてある医療機関を受診して、肛門の診察を受ける。 ここでどの選択を取るかで、患者さんの運命が変わる事もあるので、要注意である。 (続く)

特選!Dr.OKのまじめなおしりのはなし 57:便秘なのに下痢

「お腹が張ってすっきり出ません。便秘です」 と患者さんが訴える。 「いつから出ていないのですか」 と私が質問する・ 「毎日、何回も出ています。下痢なんです」 「???」 このように、下痢便が一日何回も出るのにすっきり出ない場合、一番多いのは『糞便栓塞』である。 要するに、直腸に大きな便の塊ができて肛門を通過することができず、少しずつ溶けた便が何回も出ているわけである。 患者さんは、下痢便をすれどもすれども便意がなくならず、時には肛門の奥に痛みを感じる。 こんな場合、浣腸をしても効果は期待できず、便を指で掻き出す『摘便』が必要である。 ちなみにDr.OKは、指が長いので摘便を得意技としている(^^)v もう一つ 「少しずつ便が出るのにすっきりしない。浣腸しても便が出ない。」 という症状で忘れてはいけないのが大腸がんです。 S状結腸や直腸のような肛門に近い部位の大腸では便が固まっていますから、大腸がんによって狭くなっていると塊の便が通過することができず糞便塞栓と同じように『少しずつ溶けて泥のような便が繰り返し出る』という症状が生じます。 それに加えて出血を伴っていると、肛門に最も近い直腸がんである可能性も高くなります。 そのような症状がある方は、急いで大腸内視鏡検査か注腸造影検査を受けてください。 写真は、注腸造影検査の写真です。矢印の部分の腸(S状結腸)が狭くなっています。
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特選!Dr.OKのまじめなおしりのはなし 56:今年の大腸肛門病学会

11月7日と8日に横浜で日本大腸肛門病学会学術集会が開かれる。 痔関係の病気を扱う最大の学会なので『年一回のお祭り』のようにワクワクする。 見物するだけでは面白くないので、今年も発表をすることにした。 演題は『閉鎖式結紮切除術の功罪』である。 痔核閉鎖式結紮切除術は、痔核を切り取った後の傷を縫ってふさぐので、術後の出血や痛みが少ない理想的な手術だと考えられるが、実際に行われている手術はそんなレベルで討論できるような代物ではない。 今までのやり方だと、柔らかい粘膜を縫うものだか、ほとんどの場合傷が治るより先に傷が開いてしまって、結局のところ一か月以上傷が治らない。 それを持って『閉鎖式結紮切除術は、熟練した技術が必要』などという言葉でヨシとしてしまっているところが大問題だと思う。 そもそも、痔核という病気は非常にありふれた病気だから、外科医であれば皆が手術を試みる。 大都市のように、信頼できる肛門科専門医が多い地域なら紹介するのも可であろうが、地方の中核病院の外科が好き好んで遠方の肛門科開業医に紹介するはずもない。 様々な手術の合間をぬって年間に数例痔の手術をしたところで、永遠に『熟練した技術』なんて身につくわけがない。 だからいつまでたっても『下手な閉鎖式結紮切除術』が横行し、何も知らない患者さんは「こんなものだろう」と痛むおしりを我慢している、これこそが『罪』というものであろう。 昨年から、そのような状況に一石投じるつもりで、誰でもできる閉鎖式結紮切除術の工夫を、「学会でビデオを使って紹介しているのであるが、なにせ制限時間内に短く編集されたビデオを見せられても理解が不十分で、まさに暖簾に腕押し。 そこで一計を案じ、演題申し込みの抄録の最後に、Youtubeにアップした手術のURLを記載しておいた。 編集段階で削除されてしまうかと思いきや、昨日手に入れた学会プログラムには、堂々と 『発表ビデオの詳細は http://www.youtube.com/watch?v=zKAYk7AAtjk でご覧になれます』 と掲載されているではないか。 今年こそ、活発な議論が巻き起こる事を期待して止まない。
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特選!Dr.OKのまじめなおしりのはなし 55:まじめなおしりのビデオ

かれこれ40年近く前、Dr.OKがまだ学生だったこと、病院実習で某診療科の教授について『ご指導』を受けていた時、教授室に患者さんを招き入れて開口一番 「あんた、癌だわ!」 と、のたまわったのには驚いた。 その当時、まだまだ癌という病名は家族だけに真実を話して、患者さんには真実を話さず『阿吽の呼吸』で隠し通すのが普通の時代だった。 時代は移って、平成元年。 Dr.OKが大腸肛門外科医を目指したころ、さすがに直腸がんで人工肛門をつける必要がある患者さんに 「癌になるといけないから、直腸を取って人工肛門になります」 では、患者さんの同意を得ることはできないので 「細胞の検査では癌という診断結果が出ましたが、人工肛門をつける手術を行えば完治させる事ができます」 と、患者さんを勇気づけるような説明をするように指導を受けた。 まだまだ、医療情報と言っても、今のようにテレビに雑誌にインターネットに、あらゆる媒体で氾濫している時代ではなく、多少も矛盾があっても通し切ることができる時代であった。 しかし、肛門科の場合は少し事情が違っていた。 患者さんが病気を隠しているために誰にも相談することができず、医者も患者さんからのフィードバックが少ないためか治療も玉石混交で、まさに暗黒大陸の時代であった。 そこで1996年、ようやく素人でも扱えるようになり始めたインターネットを使って、痔の医療情報を公開したのが 『Dr.OKのまじめなおしりのはなし』 というホームページである。
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そこで、実際の痔の写真や本音の医療情報を公開し、メールを使って相談にも応じた。 自分として一番勉強になったのは『医療側から公開したい情報と患者さんが知りたい情報との間には、微妙な違いがある』という事であった。 今では当たり前のように書いてある治療費なども、患者さんからのメールの中で多かった質問の一つである。 時は移って、インターネットの環境も飛躍的に発展し、何と動画を無料で配信できる時代になった。 これを見逃すDr.OKではない。 動画を流せるという事は、自分のテレビ番組を持つことができることと同じである。 実力次第では、放送局に匹敵する内容の番組を作る事も可能なのである。 最近、常々思っていることに、外科医は意外に保守的な人が多くて 「先輩に教わったままの方法で手術を行っていれば、間違いない!」 と考えているような人が大部分ではないかという事。 学会などで作りこんだビデオを使って数分手術の説明をしたところで、到底受け入れてもらえるものではない。 一方患者さんも、自分が手術を受けるという事になると 「いったい、どういう方法で手術されるのか?」 と、詳しく聞きたがる人も年々増えているような状況がある。 そこで思いついたのが、Youtubeを使って、実際の手術のビデオを、細かい解説と共に公開してしまうという『アラワザ』を思いついた。 特に、痔の手術というのは同じ名前の手術でも、病気の状態で微妙にテクニックが違う。 これを、何本アップロードしても無料というYoutubeの利点を生かして、今後巨大な『痔の手術チャンネル』を作り上げようとして始めたのが 【Dr.OKのまじめなおしりのビデオ】 なのである。
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興味のある方は是非ご覧になって、チャンネル登録(新しいビデオがアップされたらお知らせが届く)をしていただきたい(^^)v https://www.youtube.com/user/osirivideo
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特選!Dr.OKのまじめなおしりのはなし 54:いぼ痔の上手な付き合い方②

繰り返し出血する痔核には、どのような治療法があるだろうか。 一つは、生活習慣の改善と坐薬や軟膏などの保存治療がある。 硬い便で強くいきむ排便習慣は、痔核の血管に血が集まるため、出血の最大の原因になる。 アルコール類や激辛料理も、出血に悪影響がある。 薬の治療には、してステロイド剤で炎症を抑たり、ビスマス含有で血管を縮める作用のある成分が配合してあるものを、症状に応じて使う。 たいていの痔の出血は、これらの方法で改善傾向がみられるが、それでだめなら次にステップに昇格する必要がある。 その一つが、『パオスクレ―®』という、注射薬である。
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主成分はフェノールで、痛みのない内痔核に直接注射する。 肛門鏡で痔核を確認し適量の注射ですむから、外来診療の合間に気軽に行う事ができる。 それまで坐薬や軟膏で出血が止まらなかった患者さんが、この注射一本で止血できることが大部分である。 ただ、この薬の最大の欠点は、永久的には聞かないという事にある。 注射後も同じ様な生活習慣を続けていれば、早ければ一か月くらいで効果がなくなってしまう。 注射を機会に生活習慣を改善できるかが、このパオスクレ注射療法の成否を握る鍵なのである。 二つ目の策は『ジオン®』という、10年近く前に発売された注射薬。
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主成分は硫酸アルミニウムカリウムとタンニン酸で、内痔核に炎症を起こし、治る過程で『線維組織』という硬い組織が集まってきて痔の血管を潰してしまうというものである。 こちらは、『脱出する内痔核』が適応となっているので、痔核に脱出傾向があって出血が止まらないような患者さんには効果が期待できる。 ただ、パオスクレのように簡単に注射するだけでは十分な効果が期待できないので『四段階注射法』という、まんべんなく内痔核に注射液が行きわたらせるために、腰椎麻酔をや局所麻酔を行って括約筋を緩めて、正確に注射をする必要がある。 ちなみに注射で痔を腐らせて取る治療が行われていたが、注射後の肛門狭窄や肛門潰瘍などの障害が起こるため、最近ではほとんど行われていない。 ★★手術ビデオチャンネルのお知らせ★★ 痔の手術を受けようか迷っている患者さん、痔の手術が上手になりたい医師の方に、私が行っている手術を順次公開いたします。 ご覧になりたい方は【Dr.OKのまじめなおしりのビデオ】をチャンネル登録してください。 https://www.youtube.com/channel/UCJGUwuQWpb_N3PWwtNwm4Sg
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特選!Dr.OKのまじめなおしりのはなし 53:いぼ痔の上手な付き合い方①

痔核(いぼ痔)は良性疾患である。 つまり、放っておいても命に関わることはない。 『命に関わる』と言ったら、ホクロの方が上である。 ホクロは、常に刺激を与えると悪性黒色腫という癌になる事がある。 医学生の頃に皮膚科の講義で 「足の裏のホクロは、予防的に取っておいた方が良い」 と、教わったくらいである。 話を痔核に戻そう。 大きくなって、排便の時などにいきむと肛門外に内痔核が脱出して、手で押し込まなけれはならないゴリガー(Goligher)分類第3度が、一般的に手術の適応とされている。 しかし『治そうと考えているなら、手術やジオン(ALTA)注射療法の必要がある』というのが正解で、『手術をしなくちゃいけません』と断定的に言うのは言い過ぎ。 ちょうどホクロと一緒で 「Dr,OK、小鼻の横にあるホクロを取ったら、男前でっせ、患者さんぎょうさん押しかけまっせ!」 と、なんちゃって関西弁で言われても 「いらんお世話だがや!!」 と名古屋弁で答えるような物なのである。 じゃあ、『手術するくらいなら痔核と一生添いとげたい』という方には、どうやって付き合っていくかという問題がある。 まず、出血を伴うかどうかが、大きな分かれ目である。 脱出する内痔核は、弱い粘膜が下着などにこすれて出血しやすい状態にある。 まず、肛門からの出血が内痔核だけが原因なのか、大腸内視鏡で調べる必要がある。 何年も坐薬で治療していた患者さんが『痔核の他にも直腸癌があった』なんてことも、肛門科医であれば誰しも経験している事である。 また少量であっても、毎日出血していると貧血になる可能性がある。 坂道や階段を登ると、息が切れるという症状があったら要注意。 血液の酸素を運ぶ成分(赤血球中のヘモグロビン)が足りなくなっているから、体の細胞が酸素不足になって、息切れになるのである。 『あかんべー』してみて、下まぶたの裏がほかの人より白っぽくなっていたら、ほぼ確実に貧血であるから、急いで病院にかかって検査や治療を始めた方が良い。 日ごろの食事でヘモグロビン量を増やそうと考えたら、タンパク質と鉄分が必要である。 タンパク質は、肉、魚、大豆製品に多い。 鉄分は昔からレバーやホウレンソウに多いと言われるが、ホウレンソウはともかく、毎日レバーを食べるのは、お肉大好きのDr.OKといえども、ちょっと遠慮したいところ。 そういう方にお勧めなのが、黒ゴマとヒジキ。 あの、真っ黒な色は鉄の色なのである。 患者さんには、 『炒った黒ゴマを食卓に置いておいて、毎日スプーン一杯パリパリと食べたり、ヒジキのふりかけを用意して、一つまみご飯にふりかけましょう』 と勧めている。 <続く>
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特選!Dr.OKのまじめなおしりのはなし52:アッペ・ヘモ・ヘルニアの手術適応

アッペ(虫垂炎)、ヘモ(痔)、ヘルニア(そけいヘルニア)は、命に関わる病気じゃないので、日本の外科の中では『初心者が第一に覚える手術』という事で、昔はあまり重要視されていませんでした。 初心者も卒業したばかりで、手術がやりたくて仕方ない頃なので、手術に持ち込むためにどうしても手術の適応が甘くなります。 虫垂炎の場合、右下腹部の痛みを訴えてきた患者さんの血液検査をして白血球が正常値を超えていたら、手術室に電話して『緊急手術』が行われてしまった時代もありました。 そういう症例の中には、摘出した虫垂を眺めてみても、どう見ても正常としか思われないものもあり、確認のために病理検査に出すと『正常』とは診断されずに、必ず『カタル性虫垂炎』という報告書が来たそうです。 手術中にピンセットなどでいじりまくっているので、軽い炎症が起こっていたのでしょうか… 昔は抗生物質もそれほど発達しておらず、虫垂炎手術の時期を逸して腹膜炎を併発したら致命的な時代もあったから、『疑わしきは罰する』の伝統が残っていたのかもしれません。 しかし、今では超音波検査などが普及したので、実際に虫垂が腫れていなければ手術になりません。 ヘモの場合も同様です。 おしりから出血する患者さんが来て、坐薬を処方して治療します。 一応出血は止まるのですが、また数か月して出血の症状でやってきます。 そんなことを、年に数回繰り返すと 「外科医たる者、薬で治らなければ、メスがあるじゃないかっ!」 という事で、手術が決定されます。 最近は、こんな状況で手術をしていることがわかったら、学会では集中砲火を浴びてしまいます。 痔核の手術適応は、あくまで脱出することにあるのは、専門医では常識というか、これが解らないようでは専門医試験も通りません。 そけいヘルニアの場合はどうでしょうか。
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脚の付け根の部位にある『ヘルニア門』という、小さな穴をくぐって腸が出てきてしまって、脚の付け根がぷっくりと膨らむのが、典型的なそけいヘルニアの症状です。 希に、脱出した腸がお腹の中に戻れなくなって、小さな穴で締め付けられ血流が無くなって壊死(腐ってしまう)ことがあるので、患者さんでもはっきりとわかるようなそけいヘルニアは、現在でも手術の対象になっています。 歳をとると、ヘルニア門が広がって注意深くそけい部を触るとふくらみが解る人がいて、昔はかなりの数のそけいヘルニアが「予防的」に手術されていました。 ただ、そけいヘルニアも最近では手術適応がかなり限定されていて、片方のそけいヘルニアを手術したからって、反対側のそけいヘルニアを『予防的』に手術するようなことは行われていないと、日本ヘルニア学会理事の同級生が申しておりました。(^^)v
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特選!Dr.OKのまじめなおしりのはなし51:まじめなおならのはなし

肛門科には、「最近おならが多くて…」と悩む患者さんからの訴えを聞くことも多い。 実際におならのガスはどうやって生じるのだろうか。 よく「腸内で、ガスが異常に発生するため」と思われているけど、口から入る空気が大部分を占めていることがわかっていて、腸内で発生するガスはおならの約10%にすぎません。 食べ物は、胃や腸で消化されますが、大腸にはたくさんの腸内細菌が住んでいます。 もちろん、伊達に住んでいるわけではなく、消化を助けるという大役があるわけですが、その際にガスが発生します。 繊維質を分解するときに出るガスは、炭酸ガスやメタンガスで、これらは臭くありません。サツマイモを食べるとおならが出るというのは、サツマイモの食物繊維を分解することが原因です。 http://youtu.be/SlUbAJ3fCpI 一方、肉や魚などの動物性たんぱくが分解されるとインドール、スカトール、硫化水素などの臭いガスが発生します。 http://youtu.be/hOvg94qBTqo 『日本人のおならに比べて、西洋人のおならは臭い』 と言われる原因はそこにあります。 もちろん、ベジタリアンの西洋人の方もいらっしゃいますから、ステレオタイプに『外人=おなら=臭い』と思い込むのはいけません。 それでは、どのようにして腸内で発生するガスを減らしたら良いのでしょうか? それは、便通を良くすることです。 便が腸内に長い時間溜まっていると、悪玉菌による腐敗が進み、臭いにおいのするガスが溜まってきます。 便秘で何日も便が出ない人のおならが臭いのは、臭いにおいのガスが大量に発生するからです。 その予防として便通を良くするためには、食物繊維を多く摂ることが大切です。 食物繊維は、水分を吸収保持し、便の量を増やします。 量の多い便が腸を刺激し、便の流れが良くなるので、長くとどまっている場合に比べ腐敗によるガスの発生は少なくなります。 また、直腸に降りてくると強い便意が生じるために、快便となります。 食物繊維が少ないと、水分を保持しにくいので、量が少なく硬い便になります。 便の量が少ないと腸を刺激しないので腸の動きが悪くなり、便は長時間腸内にとどまることになるので腐敗も進み臭いおならが溜まります。 直腸に降りてきても量が少ないので便意が弱く、直腸に長時間溜まっている間にも水分を吸収されてカチカチの石のような便になってしまいます。 そんな便を無理に出すことによって肛門に負担をかけ、痔の病気(特に裂肛や痔核)の原因にもなってしまいます。 食物繊維以外は、ヨーグルトなどに含まれている乳酸菌を摂ることも良い事です。 乳酸菌は腸内の『善玉菌』を増やすことにより、腐敗によって臭いガスが発生することを防ぎます。 また、食物繊維と乳酸菌を共に多く摂る事によって、さらに善玉菌の量が増えると言われています。 潰瘍性大腸炎の患者さんは、腸内の善玉菌に比して悪玉菌が多いという事が解っていて、最近善玉菌を多くするために、健康な人の便を注入する(鼻から管を十二指腸まで入れて流し込む)方法が注目され、臨床試験も行われています。 Dr.OKが医学生の頃、おならが出るのは病気とは考えられず「出なかったら病気だ」と教わり『出もの腫れもの、所かまわず』が治療法であると習ったような覚えがあります。(^^ゞ しかし「呑気症」をいう、空気を飲み込む癖のある人がいて、たとえば「早食いで食べ物の中の空気を大量に飲み込んでいる人や、入れ歯の具合が悪くて噛みながら空気を飲んでいるお年寄りが、食事の時に空気を飲みこむことによって大量のおならが出る」という説明は聞きました。 それが最近『空気嚥下症』という病気が注目を浴びています。 何と日本人のおよそ1500万人(8人に1人)が悩んでいるというから驚きです。 症状もゲップやおならが多いというだけではなく、胃の痛みや不快感、胸の圧迫感や動悸、腹部の張り、腹鳴など、多彩な症状が出ます。 原因もいろいろだですが、注目されているの原因として、唾と一緒に空気の泡を飲み込むというものがあります。 『噛みしめ呑気症候群』というのもが、泡を飲み込む原因となっているそうです。 噛みしめることで上顎に舌が押し当てられ、溜まった唾液を反射的に空気と一緒に飲み込むことで起こるのです。 噛みしめ呑気症候群の場合、顎の筋肉を緊張させることによって、顎の痛み、肩こり、首の痛み、頭痛、耳鳴り、目の奥の痛みなどという多彩な症状も合併することもあります。 また、ガムなどを噛む習慣でも、泡を飲み込みやすいし、姿勢が悪くて猫背の人は無意識に上下の奥歯が接触して噛みしめと同じ状態になるので要注意との事。 長身のため猫背がちになりやすいDr.OKも気を付けます。(^^)v
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特選!Dr.OKのまじめなおしりのはなし50:大腸の検査は何年ごとに

肛門科には「おしりから血が出る」という患者さんがたくさん集まってくる。 ほとんどの場合、痔核や裂肛からの出血だけど、それ以外の病気が隠れていることも多い。 中には大きな痔核があって『即手術』。 すっかり治って患者さんは喜んでいるのだけど、その後も「何気に血が出る」とおっしゃるので、内視鏡で調べてみると直腸がんがあったなんて、笑えないことも経験する。 直腸がん以外にも直腸に炎症があって、粘膜がただれて出血することもある。組織を取って病理検査すると、潰瘍性大腸炎という診断されることもある。 そうなると潰瘍性大腸炎の特効薬を使わないと、徐々に病変が大腸全体に広がり、最悪の場合は大腸を全部摘出する手術を行う必要が生じる恐れもある。 そんなこんなで、大腸内視鏡の仕事と、肛門科の仕事と、半々くらいになってしまう肛門科も多い。 そこで、大腸内視鏡検査を行った患者さんから 「次は、いつ検査したら良いでしょうか」 なんてことを聞かれることもしばしば。 ずいぶん昔にアメリカで調査が行われ「三年に一回大腸内視鏡検査を行っていれば、大腸癌の早期発見に役立つ」というような結果が出たと聞いたが、それ以降寡聞にして大腸内視鏡の必要頻度について科学的な根拠を示した論文が発表されたという話を聞かない。 まず患者さんの医療費負担はどのくらいかというと、日本だと健康保険が使えるので、三割負担の人で7~8千円位である。 国民皆保険ではないアメリカの医療事情はどうかというと、最近ビックリするような話を聞いた。 社会保険中央総合病院大腸肛門病センターの後輩である小原邦彦先生がブログを書いているのですが、『アメリカで受ける内視鏡のおはなし』という一文を掲載していて、 「州によってことなりますが、米国での大腸内視鏡検査に関わるコストは、日本円で40万~50万、高いところでは百万円近いの金額になるそうです。」 とある。 http://ameblo.jp/obaq49/entry-11860680345.html 確かに、こんなに高額では気軽に「念のために来年もやりましょうね」なんてことは言えない。 実際のところ、日本では『何もなければ、2~3年に一回くらい検査を受けましょう』くらいの説明をする医者が多いようだが、それだってさまざまな事情で違ってくると思う。 ポリープを取ったら早期癌だった場合では、もっと頻回に検査をしないと心配。 何も見つからなくても、便が残っていたり、腸が複雑に曲がっていて隅々まで確実に観察できなかった場合なんかも、心配だからもう一回検査をしたいと思う事もある。 患者さんが非常に多い大学病院のような所では2~3年に一回もやっていたら、患者さんが多すぎで予約がなかなか取れなくなってしまうので4~5年に一回というところもあると聞く。 幸い、日本ではおしりから血が出なくても、お腹が張るとか、時々痛むとか、便の調子がおかしいとか、何らかの症状があれば健康保険を使って大腸内視鏡検査を受けることができる『世界一幸せな環境』であることは間違いない。 その、国民皆保険制度も、TPPの導入で存続が危ぶまれている。 アメリカほど高価な費用にはならないかもしれないけど、7~8千円で大腸内視鏡検査が受けられる時代はもうしばらくで、なくなるのかもしれない。
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特選!Dr.OKのまじめなおしりのはなし49:最近の便秘事情

便秘の治療の原則は ① 規則正しい食生活 ② 適度な運動 ③ 食物繊維 と、どこの教科書にも書いてある。 規則正しく食べることによって、胃腸の運動を正常にすることができる。 たとえば、朝食をとって胃に刺激をあたえると『胃結腸反射』といって、まだ食べ物が届いていない大腸が動きだし、便意が生じる。 朝食抜きにしてこの反射が起こらないと、夜のうちに直腸にたまっている便を出しにくいので、直腸にたまりっぱなしの便は水分をどんどん吸収されて、いざ出そうとするとカチカチ、コロコロの硬い便になって苦労する。 適度な運動も、胃腸の動きを高めるのに役立つし、カロリー消費によって食欲も増進し、食が進めば排便も進むというわけである。 三つ目の食物繊維。 食物繊維は、便の原料になる以外にも、腸内細菌叢を整えて病気の予防に役立ったり、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下などの効果もある。 『最近の日本人の食事は、食物繊維が不足しがちだ』と、厚生労働省も警鐘を鳴らしている。 http://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html 食物繊維の多い食品はネットで検索すればいくらでも出てくるけど、めんどくさい人のために(^^)v http://www.fs-navi.net/food/ranking.htm 食べ物から食物繊維を摂ることが自然だけど、現代の日本人の食事は油分や糖分が多くカロリーが高いので『麦飯を3杯』なんて食事をしている人は希だろう。 また、若い女性(ちょっとお年を召された方もか(^^ゞ)は、肥満を気にする人が多く、ダイエットにいそしんで食事を制限している人が多いため、当然の事として食物量が少なく、食物繊維も不足しがちである。 お腹が空いて、ケーキやジュースを摂ってしまっては、ダイエット効果も… また、お年寄りは代謝が低くなって運動量も減るから、当然の事として食物量が減るし、腸の動きも元気がなくなっている方が多い。 そういう方にお勧めしているのが、食物繊維のサプリメントである。 Dr.OKも、しょっちゅうダイエットして、ダイエット中は食物量を減らすので便秘になりがちであり、食物繊維のサプリメントもいくつか試してみた。 その中で、一番気に入っているのがフィブロ製薬の『ゼリージュース・イサゴール』 このサプリメントは、まず第一にトクホの認定があるので、安全性や効果が消費者庁によって確認されているところが安心であった。 食物繊維も、水に溶けるものと、溶けないものの両方が入っているので、より自然の食物に近い。 水に溶かして、ジュースとして飲む(溶けない線維がザラザラして喉ごし悪し)だけでなく、名前の如くしばらく置いておくとゼリー状になって食べやすい。 最近Dr.OKが気に入ってる摂り方は、ヨーグルトに混ぜ込むもの。 高機能ヨーグルトという、「プロバイオティクス」と呼ばれる新しい乳酸菌を配合したもので、免疫力が上がったり様々な効果が確認されているヨーグルトに混ぜてムース状にして食べる。 http://matome.naver.jp/odai/2135754782910735801 これを始めてから、快便快調の日々が続いている(^^)v ちなみに便秘症の人は、一度は大腸の検査をしないと『大腸がんによる通過障害が原因の便秘』を見逃してしまうので、要注意です。
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特選!Dr.OKのまじめなおしりのはなし48:子供の痔

新患のカルテが回ってきて、名前の横の年齢が一桁だと緊張する。 「子供でも痔になる事ってあるんですか?」 まるで自分が重病にかかったかのように心配するお母さんと、泣き叫ぶ子供をなだめながら診察するには、かつて小児科の教授に教わった対応の仕方が役に立つ。 「診察のコツは、右手で子供の頭をなでて、心でお母さんの頭をなでるように」 そんなわけで、大人と違う緊張感が要求される『子供の痔』について・・・ 【痔瘻】 小児期の痔瘻はめったにお目にかからないのですが、一歳未満の乳児に生じる『乳児痔瘻』という病気があります。 肛門の右や左に腫れものができて膿が出て、その後も腫れや排膿を繰り返すものです。 「痔瘻は手術しなくちゃ治らない」という話を聞いて、お母さんの心配はひとしおではありません。 しかしこの痔瘻は大人の痔瘻と違って、大部分は便が固まっておむつが取れるころには治ってしまいます。 【裂肛】 子供は成長のためにもエネルギーを使うので、体重に比して食事量が多く、便の量も多いのは容易に想像できます。 たいていの子供は十分に食物繊維も食べているので、『バナナのような』便が出ても大丈夫なのですが、中には野菜嫌いで食物繊維が不足しカチカチの便になる子供がいます。 カチカチのぶっとい便を出して肛門の皮膚(上皮)が切れてしまって、大泣きになる子供がお母さんに連れられてやってくる。 軟膏で治療すると共に、食物繊維の多い食品をとるようにすることが大切です。 野菜嫌いな子供には『寒天ゼリー』やクラッシュタイプの『こんにゃくゼリー』なども紹介しています。 【痔核】 大人では痔の病気の中で最も多いのですが、子供ではめったに見ることがありません。 子供の肛門の出口付近の周囲にある『外痔静脈叢』という血管の集まったところは、強くいきむと膨らむため、これをお母さんが気にして 「便をした後に、肛門の周りが腫れている」 と外来にいらっしゃいます。 子供の皮膚は薄いので肛門の出口の血管にドーナツ型に集まった血液が透けて見えることがありますが、しばらくしてもとに戻るのでそのまま腫れるようなことはなく病気ではありません。 先日、「肛門科人生25年」で初めて、子供の血栓性外痔核を治療したくらいです。
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特選!Dr.OKのまじめなおしりのはなし47 最近のネット情報

インターネット上には玉石混淆の様々な情報が流れているが、こと医療情報についても同様である。 しかし、全く情報が手に入らなかった時代よりは、多くの情報を得て自分で判断できるほうが望ましいのではないだろうか。 かつて肛門科という言葉は口にすることもためらわれる『日陰者』であったから、どのような医療が、どのような基準によって行われているのか全く分からない「暗黒の世界」であった。 私が1996年にホームページを初めて、肛門疾患の情報を公開した時分は「繰り返し痔から出血したら、手術を行うべき」という考えがまかり通る時代であった。 痔の治療をするのは外科医で、『薬の治療で症状が取れなければ手術をすべき』という考えに支配されていたのである。 外科医にとって手術は腕の見せ所であり、手術も行わずに病気を治すことができなければ「外科医の負け」としてメンツにかかわると感じていた医者も大勢いたのだろう。 ネットで「繰り返し出血するから手術をするというのは間違いである」と書いたら、肛門科開業医の医者から「あなたは、病院経営について理解していない」という、ちょっとベクトルのずれた怒りのメールが送られてきたこともあった。 今では、多くの肛門外科医によって「手術の適応は痔核が脱出することにある」という情報が広められたおかげで、痔で手術を勧められた患者さんがセカンドオピニオンを求めて来院することも多くなった。 最近では、私の社会保険中央総合病院大腸肛門病センターの後輩にあたる肛門科医がブログを立ち上げ、日本の肛門病学の立役者であるわが師、隅越幸男先生の哲学を伝えてくれているのは大変うれしい限りである。 『過ぎたるは及ばざるにしかずだよ、佐々木君』 http://ameblo.jp/driwao/ 後輩の活躍に刺激されて、私ももう一つ自分が勤務するクリニックのためのブログを始めた。 タイトルはズバリ【秋葉原の大腸肛門科】である。 http://akbsc.blogspot.jp/ 検索用語が、秋葉原、肛門科、大腸肛門科などでヒットするように考えた。 なにはともあれ、日陰者であった肛門疾患が、だれの口からも堂々と語ることができる時代が来るように、情報公開を続けていくケツイを固めるDr.OKであった。
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特選!Dr.OKのまじめなおしりのはなし46:痔が出たら

患者さんの症状で『痔が出る』という人がいる。 肛門の形が飛び出した形になっている事を、そう表現しているわけである。 それに対して、どんな治療をするか気になるところである。 先輩患者の話を聞くと、 「痔が出たら、切らなきゃだめだと医者に言われた」 とか 「切らなくてもいいって言われたけど、いっこうに治らない」 とか、いろいろな説が飛び交っているが、これは『痔が出る』という表現の中に、いろいろな種類の痔が含まれていることに原因がある。 まず代表的なのは、【かんとん痔核】 これは、肛門の中や周囲の血管で血栓(血のカタマリ)ができて、急に腫れたもの。 ある日突然『出る』のが特徴で、激しい痛みを伴う。 治療法は医者の間でも議論があって、『すぐ切る派』と『薬で治す派』がある。 Dr.OKが原則『薬で治す派』なのは、切らなくても元の状態に戻る事が解っているから。 次に多いのが、【痔核が脱出(脱肛)】するもの。 これは、腫れているわけではないので痛みはほとんどない。 痔の血管部分が大きくなって支えきれなくなり、スライドするように肛門の外まで出てくるもの。 これは手術をしたり、注射による硬化療法を行わないと治らない。 ただ、治して痔とケツベツしたいか『人生のよき友』として付き合っていくかは、患者さんの気持ち次第。 三つは、スキンタッグ。 これは、肛門の周囲の皮膚がたわんで肛門の外からつまむことができるもの。 血管の成分が多ければ「外痔核」といっても良いけど、どちらともとれるグレーゾーンが多い。 これも、いくら薬を付けたところで小さくなることはない。 気になるから、局所麻酔をかけて切るしかありません。 ただ、これは病気とするかどうかは患者さんの気持ち次第。 成人の肛門は、赤ちゃんの肛門のようにツルツルなわけじゃないからね!(^^)! それでは最後に、上の三つの『出る痔』を見てみたい人だけにお届けする「出る痔三態」 上から、かんとん痔核、痔の脱出、スキンタッグです。 自己責任で、画面をスクロールしてご覧ください。 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
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特選!Dr.OKのまじめなおしりのはなし45:鍼治療

痔の患者さんに「昔、痔が腫れたときに鍼で治療したことがあるんですよ。」と伺った。大腸肛門病学会では一度も鍼治療についての発表は聞いたことがないが、足の裏に痔に効くツボがあるという話を聞いたことがあるので、さっそく『痔 鍼治療』でグーグル検索してみた。 中には検索結果の要約に 『病院で「手術しかない」と言われた方でも大丈夫です。』 というのがあるではないか。患者さんに身体的にも経済的にも負担をかけない治療法があれば理想的だと思うので、さっそくいくつかの鍼灸院のホームページを覗いてみた。 一番目を引いたのは、治療経過を写真に撮った症例報告。 かんとん痔核と思われる肛門周囲が大きく腫れあがった写真が載っていた。 説明によると、最初に肛門科を受診したら手術が必要と言われたが、手術を受けたくないので鍼灸院を受診したとの事。 週一回の治療で、三か月で完治した経過が解説されている。 「だが、待てよぉ。」 かんとん痔核というのは、痔の血管で血流障害が起こって血液が固まってたくさんの血栓を作り、肛門が急に腫れあがる病気である。 これを手術で切除するか、軟膏や座薬の治療で治すかは、医師によって考え方に違いがあるが、Dr.OKは原則的に手術はお勧めしていない。 痛みが強い時には薬を使うけど、その時期が過ぎたら何もしなくても腫れた肛門は徐々にひいて言って、三か月もたったら自然に元に戻ってしまうものなのである。 かんとん痔核のような手術をしなくても治る病気に、鍼治療を行ったから『手術をしなくても治すことができた』というのは、ちょっとなぁ・・・ かんとん痔核が鍼治療で治っていく写真は、こちらのページにあります。 http://www.ji1.jp/shourei_1.htm それに対して、Dr.OKが薬の治療を行った症例写真はこちらです。そっくりでしょ!(^^)! http://blog.dr-ok.com/201207/article_5.html
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特選!Dr.OKのまじめなおしりのはなし44 治せない痔ろう

「痔瘻は、手術しなければ治せないよ」 と、キッパリ言い切る肛門科医は多いのですが、その反面、どんな名人が手術しても治せない痔ろうがあります。 【クローン病に合併した痔ろう】 Dr.OKがまだ体重80㎏だったころ(←なんのこっちゃ)、患者さんに無駄な体脂肪の無いトライアスロンの選手がいました。 「おしりの近くから、いつも膿が出るんです」 「膿が出ちゃ、海にも入れないよね」 なんて冗談をいいながら診察したら、ごく浅い単純痔瘻。 いつものように10分程度で手術は終わり、何の異常もなく退院されました。 ところが、その痔瘻の傷がなかなか治らない。 長くても2か月もすれば塞がるような傷が、いつまでたっても柔らかい肉に覆われたまま、傷の周りの皮膚が増殖してこない。 先輩から「ひょっとしたら、クローン病かもしれないから、内科で診てもらったら」とのアドバイスを受け、内科で小腸を調べてもらったら明らかなクローン病でした。 クローン病は、口から肛門までどこにでも生じる可能性のある炎症性疾患で、『スキップ病変』といって飛び飛びに生じることがあり、この患者さんも小腸で顕著なクローン病の炎症が肛門にもおよび、痔瘻を作っていたという事でした。 普通の痔瘻は、直腸粘膜と皮膚(正確には肛門上皮)との境目にある肛門腺という分泌腺の中に、便中の細菌が侵入する事によって発症すると考えられています。 従って、病巣を開放してやれば理屈としては治せるはず。 いかに括約筋へのダメージを少なくするかが、肛門科医の腕の見せ所です。 それとは違って、クローン病に合併する痔ろうは、クローン病の腸の炎症から潰瘍ができて、そこから感染していることが多いのです。 時に大きな括約筋より奥から痔瘻のトンネルが始まっているので、病巣を開放すると便が漏れるような重大な後遺症を残す事になってしまいます。 また、便の入り口になっている部分を縫ってふさごうと試みても、炎症が強くて癒合ができません。 肛門科医としては、シートンと呼ばれるゴムやシリコンの管を痔瘻に留置し、膿が溜まって腫れあがる事を防ぐ処置を行うのが、精いっぱいなのが現状です。 しかし、クローン病合併の痔瘻だからと言って落胆することなかれ! クローン病の内科治療は日進月歩で、近い将来、完治できる時代が来ると思います。 そうなったら、痔瘻も治せることになるでしょう。
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特選!Dr.OKのまじめなおしりのはなし43:肛門異物

Facebookをやっていると、友達から様々な情報が伝えられる。 先日、歯科の先生から下記のようなネットニュースの記事を紹介された。 【尻に入れた電動マッサージ器が取れなくなった男が病院に駆け込む → 男「痔の治療のためにやった」 医師「効果はない」】 http://rocketnews24.com/2014/02/25/417291/ どうも、中国の記事の様だが「なるほど」の言い訳が興味を引く。 肛門科を標榜していると、忘れたころに「肛門内に異物が入って取れなくなった」と言う患者さんがやってくる。 直腸は決して『真直ぐ』な形ではなく、出口付近で後方に強く曲がっているので、この部分を通過して奥に入っている長いものは、容易に取り出すことはできない。 体にあいている穴に何かを入れたくなる欲求は、人間が本来持っている原始的な欲求なのだろうか、小児科の救急をやっていると鼻や耳に物を詰めて連れられてくる子供がいる。 長じて肛門に興味があるのも、その一環だろうか?? とは言え、直腸内に硬い異物が長時間入っていると、周囲の腸管を圧迫して穴があく恐れがある。穴があいたら細菌だらけの便が漏れ、細菌性腹膜炎から死に至る可能性大。 肛門から鉗子などを突っ込んでつまんで取れれば幸運だが、時にはお腹を切る手術を余儀なくされる場合もある。 私の経験では、瓶が取れなくなってやってきた人がいた。 曰く「お風呂上りにシリモチをついたら、瓶が肛門から入ってしまって・・・」 早速レントゲン撮影をしたら、特徴のある形のものが写っている。
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「ミツカンポン酢・・」 名古屋出身のDr.OKには、郷土の優良企業『ミツカン』の製品であることが一瞬にして判読できた。
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特選!Dr.OKのまじめなおしりのはなし42:肛門鏡

大腸内視鏡検査を行うと、患者さんから 「痔の状態はどうでしたか?」 と聞かれることがある。 大腸は、空気を入れると風船のように膨らんで中の様子を観察できるが、肛門には括約筋と呼ばれるいつも締まっている筋肉があるので、空気を入れたくらいでは広がらない。 そこで、肛門を広げた状態で内部を見るために開発されたのが、『肛門鏡』という医療器具なのである。 医療業界では、様々な道具をまとめて『医療器械』と呼んでいて「おしりにキカイを入れますよ」なんて言い方をするので、患者さんは大きな『マシン』を入れられるような錯覚に襲われるが、実際には手のひらに収まるくらいの小さな器具なのである。
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上の写真は、ストランゲ型肛門鏡と呼ばれる、知る人ぞ知る肛門科専門医の間で使われている特殊な器械である。 左の先端部を肛門に当ててそっと挿入するのだが、よく見て解るように断面は円形ではない。これは、肛門の形が前後に長い楕円形なので、その形に合わせて断面も楕円形になっているのである。 この器具を肛門の中に挿入してから、右手にあるつまみをそっと開く。
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そうすると、楕円形の部分が実は貝が開くような構造になっていて、肛門括約筋を押し広げて内部を観察することができる。 別名『二枚貝式の肛門鏡』と呼ばれる所以である。 肛門の壁を観察した後、脱肛する痔核では先端を痔核に当てて外に脱出させて脱肛の程度を観察することができる。これは、単に筒で肛門内を観察するタイプの肛門鏡ではできない、ちょっとした『技』なのである。 この技を正確に行うためには、患者さんに恐怖や羞恥心を与えることなく、痛みが生じないように愛護的に診察する必要があるのは、言うまでもない。
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特選!Dr.OKのまじめなおしりのはなし41:痔の術後管理

「手術は麻酔がかかっていて痛くないのはわかるけど、麻酔がさめたら痛いんじゃないんですか?」 「昔、手術を受けた知り合いが『三日三晩、痛みで脂汗が出て地獄の日々だった』なんて脅かすんですけど大丈夫ですか?」 手術を覚悟して治療計画書を書いている時点で、時々聞かれる質問である。 そこはやはり『餅は餅屋』と言われるように、肛門科専門病院としての様々なノウハウがある。 まず、手術が終わった時点。 肛門の中の傷から出血すると、直腸に血液が溜まって下痢のように大出血することがある。それこそ一面血の海となるくらい大量の出血で患者さんも意識が無くなり、こちらも気が遠くなりそうになるところをぐっとこらえて、深夜の止血処置を行うような事態になる事もある。 そういう事態を恐れて、手術が終了してまだ麻酔が効いている事を利用して肛門内にチクワくらいに筒状にしたガーゼを入れる習慣があった。 麻酔がさめるにしたがって括約筋がギュッとしまることになり止血効果が生じるのだが、傷の痛みを出す『効果』も抜群である。 翌朝、麻酔が完全にさめた状態でこの筒状ガーゼを抜く作業中は、患者さんも歯を食いしばっていることがわかる。 そこで肛門科のプロは傷の縫合に挑戦する。 「痔核の手術で傷を完全に縫うと肛門が腫れて痛い」という言い伝えがあるのだが、実際にそんなことはない。Dr.OKは完全に傷を縫合閉鎖して、痛みが少なく治るまでの時間が短い手術法を採用している。 次に問題になるのが、手術後の診察である。 外科手術の後の傷は、毎日消毒することがデフォルトとされてきたが、そんなことは一切しない。 だいたい便が出るところを消毒したところで、何の意味もない。 肛門に指や器具を入れて診察することもやらない。 別に『メンドクサイ』からではなく、患者さんを痛がらせてまで得られる情報がないからである。 患者さんの訴えを聞き、腫れや出血がないか肛門を見て、軟膏を付けて 「お風呂に入って温めて、できるだけ安静にしていてください」 これだけで十分なのである。
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特選!Dr.OKのまじめなおしりのはなし40:おしりのかゆみにご用心

『チャパツ』という言葉が一般的になってしばらくしたころ「おしりがかゆい」といって私の外来を受診した男性がいた。 年恰好は20代前半で、最新のファッション(といっても思い出せないけど(^^ゞ)に身を包んで診察台に上がった。 おもむろに下着を下げ肛門を診て驚いた。肛門周囲の体毛が金色に光っているではないか! 『ケツ毛チャパツ!!』 と口には出さなかったけれど、ついにこんなところまでチャパツにするようなことが流行っているのだろうかと、おずおずと聞いてみた。 「清潔第一だから、オキシフルで消毒してるっす!」 最近の若い人は知らないだろうけど、その昔ヘアカラーなんてしゃれたものは使わず、オキシフルで洗髪して脱色するというワザを使っていた時代があった。 それを知ってるか知らないか知らないが、オキシフルで毎日おしりを拭いていた結果、体毛が脱色されてチャパツになっていたという事であった。 「かゆい原因は、オキシフルの刺激が強すぎて、皮膚が荒れているからですよ」 と説明し、湿疹用の軟膏で治療したという経験がある。 時は過ぎ、シャワートイレはついに高尾山(標高599m)のトイレまで普及している昨今だが、今までと違った『おしりのかゆみ』が登場してきた。 すなわち、洗いすぎによるかゆみである。 従来のおしりのかゆみは、排便後の始末が不十分で便によってかぶれているものが大部分だった。 もちろん、現在でもその手のかゆみは多いのだが、新たに洗いすぎることで皮膚の脂肪分が少なくなって荒れたり、皮膚の表面を保護している角質層が削り取られたりすることでかゆくなるのである。 ここでも『過ぎたるは及ばざるの如し』なのである。
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特選!Dr.OKのまじめなおしりのはなし39:機能温存手術痔核編3

痔核を縦方向(肛門の管の方向)に一つずつ取っていく結紮切除術にも欠点はあった。 痔核を切り取った部分の傷から、出血が起こったり、傷に便がつくことで痛みが生じた。 そこで開発されたのが、半閉鎖式結紮切除。 痔核を外の方から中へ向かって切り取り、一番奥の部分を結紮し(縛り)その糸を使って、痔核を切り取った後の傷を縫ってくる手術術式です。
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肛門の外の部分(グレー部分)は縫わないで傷を開けたままにしておくので『半閉鎖式』なのです。この傷の事を『ドレナージ創』と言います。 どうしてこの傷を残しておくかというと、痔の手術はバイ菌だらけの汚い部分で手術するので「バイ菌を縫いこんで化膿するのを防ぐため」と説明されてきました。 しかし、痛みを感じる肛門の外の皮膚の部分に、一か月以上治らない傷を持つことになるので、どうしても痛みを抱えたまま長期間過ごすことになってしまう。 そこで考え付いたのが、『完全閉鎖式結紮切除術』なのです。
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今まで、肛門の外に大きなドレナージ創を作らないと十分にドレナージ(バイ菌などの汚いものを洗い流す)することができないと信じられていました。 しかし傷の縫い方を工夫することで、縫い目の間から十分なドレナージをすることができ、化膿することなく短期間で傷を治すことができるようになりました。 もちろん、ドレナージ創は作らないので、手術後の痛みが少ないのは言うまでもありません。
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特選!Dr.OKのまじめなおしりのはなし38:機能温存手術痔核編2

古典的痔核の手術というと、1882年に発表されたWhitehead (ホワイトヘッド)手術が代表選手です。 痔核ができる範囲(肛門の入り口から3cm位奥まで)を、短いリング状に切り取り、外の皮膚と、中の粘膜とを円形に一周縫い付けてしまう手術です。(AとBを縫いつける) 痔核ができる部分を完全に、良く言えば予防的に切り取ってしまうわけですから、再発は絶対にしない。
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一見完璧な手術のように思えますが、ぐるっと縫い付けた傷が縮んで肛門が狭くなったり、 外の皮膚に引っ張られるように縫い付けられた直腸の粘膜が肛門の外まで出てくるようになったり、いわゆる術後後遺症の悩む患者さんも多かった手術法です。 しかし、この手術も名人が行えばきれいな肛門になるので、陰で泣く後遺症に悩む患者さんがいるにもかかわらず、 新しい手術にとってかわられるまでに約100年を要しました。 ホワイトヘッド手術にとってかわったのが、結紮切除法です。 これは、痔核を一つ一つ縦方向(肛門の外から中に向かう方向)に切除する手術法です。 ホワイトヘッド法と違って、どの部分を切り取ってどの部分を正常として残すかの判断が難しいので、判断を誤れば数年後再発する可能性がありますが、 「再発した痔核を手術する方が、ホワイトヘッド手術の後遺症よりマシ」という考え方が一般的になりました。 この手術の失敗例は、たいてい痔核を取りすぎたことによる「肛門狭窄」や「手術後難治創」です。 癌の手術のように「再発したら、外科医の負け」という意識で、徹底的に執ってしまおうとする認識が、最大の敵なのです。
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特選!Dr.OKのまじめなおしりのはなし37:機能温存手術痔核編1

痔の手術と聞くと 「手術すると、後遺症で便が漏れるという話を聞いた事があるんですけど」 とか 「痔の手術って、一回では治らないんですってね」 なんて言われる患者さんがいらっしゃる。 確かに、『下手な手術』をしたら、そういうような後遺症が残ることも否定はできないけど、肛門外科のプロとしては、絶対にそんな後遺症は残してはいけないし、可能な限り正常な肛門に近づけるような努力をしなければならない。 という事で、しばらく機能温存手術の解説をしたいと思いますが、今回は一番手術が多い『痔核(いぼ痔)』についてのお話を始めたいと思います。 【病変写真注意(かんとん痔核)】 ↓ ↓ ↓ ↓ ↓
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まず、手術の適応をしっかり定めなくちゃいけません。 手術をするという事は、それだけのデメリット(時間、費用、痛み、出血の危険性、術後の後遺症の可能性etc.)を十分考慮する必要があります。 特に痔核は命に関わる事のない「良性疾患」だから、患者さんが「ワシ、痔が出ても気にしてないけんね。ウ〇コした後に指で押し込んでおけば、一日中なーんも気にならんけんね。」と『けんねアタック』で攻められたら、「そりゃそうだがや」と名古屋弁で答えるしかないぢゃないですか(^^ゞ 間違っても、痔から出血して座薬を使って治療したけど、年に何回も診察にいらっしゃるから「こりゃ、手術せにゃいけませんな!!」なんて調子で、手術適応が決まってはいけないのである。 あくまで痔核の手術適応の原則は 「痔核が脱出して押し込まないと戻らない」∩「患者さんが手術をしてでも治したい という二つの条件がそろった場合なのである。 このブログを最初からお読みの方は、痔核の正体は正常組織である痔静脈叢が大きくなったものであることはご存じだろう。その痔静脈叢の支えとなっている組織(支持組織)が緩んで血管が太く大きくなったり、位置を固定できなくなって肛門の外へ滑り出てくる状態が痔核であるという説(支持組織減弱説)が痔核発生の定説となっている。 従って、癌細胞のように異常な血管がどんどん増殖して大きくなるわけではないから、必要最小限の範囲で痔核を除すれば良いわけで、取りすぎは後遺症の元になる。 まさに 「過ぎたるは及ばざるに“如かず”」(やり過ぎは、やり足らないより悪い) なのである。 そのような方針から見た痔核手術の変遷について、しばらくお付き合いしてください。 続く・・・
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特選!Dr.OKのまじめなおしりのはなし36:学会顛末記

学会発表も無事おわり、この時期、ちょっと息抜きのDr.OKである。 今回の発表の主題は「だれでも簡単にできて、治るのが早い痔核の手術」という事だったが、そのテクニックの一つにドレナージ創について言及する部位があった。 肛門の手術は、汚染部位(人体の中で最も細菌数が多い肛門を扱う)の手術なので、傷に細菌がついて化膿する恐れがある。 外科的な常識だと、汚染された傷は縫ったとしても一部開放しておき、傷の中に入り込んだ細菌が体液で外に流される(これを、ドレナージされると言います)形にすることになっている。 従って、痔核の手術では、もともと痔核を切った後は切りっぱなしというか、そのまま周囲から粘膜が再生して傷が塞がれるのを待つ、開放術式が主流だった。 それで、傷に毎日便がつくので『痔の手術は痛くて・・・』と不評であった。 そこを、社会保険中央病院大腸肛門病センター(私は、そこで17年間痔の手術を学んだ)を中心として、肛門の内部の傷だけ溶ける糸で縫い合わせて、肛門の外にかかる部分は縫わずにそのままにしておく、半閉鎖式結紮切除術という痔核の手術を普及させてきた。 つまり縫い合わせた部分に残った細菌は、肛門の外に縫わずに残してある傷の部分をとおって体外に『ドレナージ』させるという方法である。 しかし、Dr.OKはこのことに疑問を持っていた。 同じ、肛門部分を手術する『皮膚弁移動術(裂肛の手術)』では、ドレナージ創は作らず、皮膚と粘膜を縫合しているではないか?! 大きなドレナージ創がなくても、縫った糸と糸の間から浸出液は出るので、それだけでドレナージ効果は十分なのではないかと考えた。 そこで、半閉鎖式結紮切除術のドレナージ創を徐々に小さくして行って、最終的には完全閉鎖してしまう『完全閉鎖式結紮切除術』を完成し、それをビデオに撮って発表したわけである。 傷を全て縫ってしまうのであるから、便がドレナージ創について痛むこともないし、傷も早く治るので患者さんの好評を得ることができた。 ★ビデオについては、YouTubeで公開してあるので、まだ見ていない人は『サルケツ』で検索してください★ ところがである、かつて私の師匠であった先生が、私の発表の前日に教育講演というものを行って「肛門の手術は、十分なドレナージ創を作らなければいけない」との趣旨で講演したのであった・・・・ それに真っ向から反対する意見を、弟子である私が述べたのである。 ひょっとしたら、発表が終わってから大目玉を喰らうかもしれない思って発表に臨んだが、幸い師匠は他の用事があったのか、私の発表会場には姿を見せなかった。 今頃、話を聞いて怒っていらっしゃるかなぁ? 別の学会でお会いしたとき、笑顔で寄ってきて「奥田、ちょっと後でな・・・・」なんて言われたらどうしよう(^^ゞ
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特選!Dr.OKのまじめなおしりのはなし35:学会狂奏曲

大腸肛門科医にとって、秋といったら『学会の秋』 今年も、11月15日、16日の両日、日本大腸肛門病学会学術集会が東京で開かれした。
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学会と聞くと一般の人は、何か権威の象徴の様な博士が壇上で重大は発表を行い、終わったとたん聴衆が立ち上がって拍手する(スタンディング・オベーション)なんてシーンを、テレビドラマで見たことがあると思うけど、実際のところは『医者の文化祭』というようなところ。 スタンディング・オベーションなんて、見たことないぞ! 一年に一回、全国から仲間が集まってきてお互いの無事を確認し、楽しく会食をしたり、ついでにちょっと新しい知識を、講演やその間のロビーでも立ち話で得ることもできる。 なかなか病院から離れられない先生も、この日ばかりは皆明るい趣でウキウキしているのがわかるが、幸か不幸か携帯電話という文明の利器で、完全には切り離されることはない。 「とりあえず会費を払って、その後どこに行ったものかいっこうに会場に姿を見せないという怪しい行動をする先生もいらっしゃるのが医学会の実態である」なんて、内部告発か?! Dr.OKも大手を振って病院を休むため(,_‘☆\ バキ もとい、医学の発展に少しでも寄与するために、年に数回しか締めないネクタイを着用して、おごそかに発表した。 今年は、新しい手術の工夫をビデオで講演であった。 実は、前々からYouTubeで流してあったのだ。 http://www.youtube.com/watch?v=PriD_6nXGp8 こういう発表形式は、私は知っている範囲では初めてで、既に「文句ある」という人たちが、学会会場で手厳しい質問をしようと、手ぐすね引いて待っている事を期待していた。 「『サルケツ法』なんて、不謹慎なネーミングだ」 というクレームが出そうだけど、もちろん学会ではサルケツ法なんて口が裂けても言いません。 でも、大したことないものを、さも重要な事のように装ってその場シノギしている人がいると、ちょっと石を投げたくなるDr.OKの中のいたずら小僧が目をさますぢゃありませんか。 まっ、内容がイマイチであっても、せっかく見に来た人たちが少しでも楽しむことができるような工夫を新たに付け加えた内容で、ビデオを編集しました。 ビデオの最後に『ぢend』なんて、やっぱ、NGだろうなぁ。
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 特選!Dr.OKのまじめなおしりのはなし34:間違いだらけの肛門科選び(2)

今回は、腕の良い痔の専門医を見つけるコツについて話したいと思います。 まず第一に、多くの患者さんが思う事は、 『立派な建物の病院が良いのではないか』 という事。確かに 【治療が良い】⇒【患者が集まる】⇒【病院が儲かる】⇒【立派な病院を建てられる】 という図式が当てはまるケースもあるだろう。 しかし、患者さんが“良い治療”と信じているものが、全て本当に良い治療である保証は無い。 たとえば、手術する必要のない軽い痔を手術すれば、術後の経過も順調(傷が小さいから当然痛くないよね)で、病院も手術代が入るというウインウイン【win-win】の関係が成り立っている場合だってあるだろう。 それに銀行は名医だから大金を貸してくれるわけではないから、経営者の度胸と手腕で立派な病院を建てることはできる。 次に挙げられるとしたら、 『専門医の資格があるか』 という事。 大腸肛門科医師として取るべき資格の代表的なものとして、日本大腸肛門病学会専門医というものがあり、学会のホームページでも一般の人に公開している。 http://www.coloproctology.gr.jp/doctor/ Dr.OKもこの資格を取っているが、ちょっとした問題がある。 この学会には、肛門の手術を実際にやっている医師だけではなく、大腸外科を専門として大腸癌の手術が得意な(痔の手術はあまりやったことがない)外科医や、クローン病や潰瘍性大腸炎などの炎症性腸疾患の治療を熱心に行っている内科の先生も参加している。 大腸肛門病学会の専門医試験は、それまでの臨床経験を書類審査し、さらに最近では筆記試験(Dr.OKのころは口頭試問(^^ゞのみ)で行なわれているが、書類審査内容も試験も肛門外科、大腸外科、大腸肛門内科が別々に行われていて 【日本大腸肛門病学会専門医】=【痔の手術の名人】 という事には、残念ながらならないことにある。 では、患者さんはどうしたら【痔の手術の名人】を見分けることができるのだろうか。 一つは、信頼できる医師に紹介してもらう事。 やはり、一般の人が知っているよりは医師仲間の方が情報を正確に持っていると思うが、これも肛門科というものにそれほど興味がない先生だと、仲間内で流行っている病院を紹介する程度の情報であることもある。 二つ目としては、病院のホームページで丹念に医師の経歴を調べる事。 いくら、大学や大きな病院で活躍していたところで、それが必ずしも痔の手術に熟達していることにはならない。 特に大学病院で痔の治療を熱心にやっているところは皆無に近く(だって、泌尿器科の医局はあるけど、肛門科は無いからね)、痔の治療で有名な病院にどのくらい長く勤めていたかという方が、まだしも指標になるというものである。 三つ目に、遠慮なくDr.OKにメールで問い合わせください。 dr-ok@mtg.biglobe.ne.jp Dr.OKが長年修行していた社会保険中央総合病院大腸肛門病センターには、全国から熱心な医師が痔の手術を勉強するためにやってくる病院だから、一緒に働いた上で信用できる【痔の手術の名人】を何人か知っていますからね!(^^)! ただし、少しぐらい遠くても通院するくらいの覚悟はいりますから、そのつもりでね!(^^)!
posted by Dr.OKの消痔堂日誌 at 07:10Comment(0)TrackBack(0)