ジオン(ALTA)と手術の併用療法についての私見

痔核が大きくなって、肛門外に脱出し、押し込まないと戻らない(腫れている場合を除く)ようになると、薬の治療では限界となってくる。 もちろん、痔核は良性の病気だから 「ワシ、気にせんもんね、毎朝押し込んだらええもんね」 という方は、『痔核と共にある人生』を楽しんでもらえばよい。(;^_^A そうでない方に行われている治療法の代表的なものに、手術療法とジオン(ALTA)による効果療法がある。 手術は痔核を切り取ってしまうわけだから、確実な治療法である。 しかし、痛みや出血、術後の狭窄などの後遺症など、術者の腕前が大きく左右する治療法である。 ジオン(ALTA)は、痛みを感じる神経のない内痔核部分に注射して炎症を起こし、治る過程で痔核を硬化させて縮める治療法である。 Dr.OKはジオンが発売される前に臨床試験医として使ってみたので、注射の翌日には痔核が出てこなく痛みも無いという『奇跡的効果』に驚いた経験がある。 しかし発売後に製薬会社が調査した成績では、1年後の再発が14%程度となっているので、確実な治療法とは言えないのが欠点である。 また最近、添付文書の「重大な副作用」の項目に「直腸膣瘻」(ジオン注射部位と膣の間に穴があいて、便が膣から漏れる)が追記されたので、より慎重な取り扱いが必要である。 痔核が脱出するくらい大きくなると、肛門の外の外痔核と内部の内痔核が一体となって脱出する場合がほとんどである。 ジオン(ALTA)は『脱出を伴う内痔核』に効能があるわけだが、それでは十分に脱出症状を治すことができない。 そこで、内痔核にジオン(ALTA)を注射すると同時に、外痔核は手術的に切除するという併用療法が行われている。 ジオン(ALTA)のは、痛みを感じない内痔核に注射して脱出を治療し、翌日から痛みも腫れもなく日常生活に戻れるのが最大の長所なのだが、わざわざ痛みを感じる外痔核を切除するのでは、本末転倒のような気がする。 また手術に不慣れな医師が外痔核に対して稚拙な手術を行ったり、必要のない外痔核切除が行われている事が懸念される。
posted by Dr.OKの消痔堂日誌 at 16:17Comment(0)TrackBack(0)

痔の手術は必要か

痔というのは肛門の病気全般をさす言葉なので、今回はその中でも一番多い痔核(いぼ痔)についてのお話。 究極の選択は『手術したくなければしなくても良い』である。 ただ、痔核がどんな症状であるかによって、選択肢も変わってくる。 急に腫れて痛むような、血栓性外痔核やかんとん痔核は薬の治療で治る。
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【急に肛門の一部が「ぷくん」と腫れて痛むのが、血栓性外痔核】
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【肛門の広い範囲で腫れて戻せないのが、かんとん痔核】 手術するかどうか迷うのは、脱肛である。 腫れていないのに排便時や、時には長時間歩いた時に肛門の外に『いぼ』のようなものが出てくる。
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【いきむと脱出するのが、脱肛】
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【押し込むときれいに戻るのも、脱肛の特徴】 排便習慣や生活療法の改善によって、症状が無くなることも多いけど、『上手く付き合う』必要がある。 「いぼ痔と付き合うのは嫌だ」 と考えるなら、切り取ってしまうのが手っ取り早い。 ちなみに、保険診療で排便や生活習慣の改善のために長時間説明をしたところで、余計の診察費はいただけないので、勢い手術に傾くのは医者の良心に任されている現状がある。 医者が「切らなきゃ治らない」と言った痔が、切らずに治った。という「患者さんの喜びの言葉」を載せている、有名な通信販売の薬の類は、血栓性外痔核やかんとん痔核を『切らないと経営上問題がある』と判断した医者の事情もあるのではないかと、私は疑っている。
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posted by Dr.OKの消痔堂日誌 at 08:50Comment(0)TrackBack(0)

『ぢ』ってなぁに:まじまりまじまり

みなさま、あけましておめでとうございます。 お久しぶりですDr.OKです(^^)v この正月休みはどのようにお過ごしだったでしょうか? Dr.OKの場合は、医者になって初めての6日連続休みだったので、ここは心機一転、痔の勉強をやり直すことにしました。 何で肛門科医になって30年以上も経つのに『勉強をやり直す』かというと、肛門病学の分野にはエビデンス(科学的な根拠)のない『言い伝え』のようなものがとっても多いからです。 その昔、大先生が 「傷を全部縫ってまったら、どえりゃあひどい目に合ってまったでかんわぁ」 (標準誤訳すると「手術で傷を全部縫ってしまったら、とっても危ない目に合って、大変苦労した」) なんて言うと、その言葉が単なる個人的な経験であっても、弟子の間で代々伝わって 「痔核の手術後の傷は、肛門の外に十分なドレナージ創を作らなければならない」 なんてことが、手術教科書にも必ず載ってしまうのです。 肛門の外に、必要以上の大きな傷をつけられた患者さんは大迷惑。 シャワートイレはしみるわ、自転車には一か月以上乗れないわ… そこで正月休みを機に心機一転『一年の計は元旦にあり』とばかりに、国内外の医学論文を読み漁り始めました。 自分が学んだ事は人にしゃべりたくなる性格なので、今日からしばらくの間、『ぢ』についての解説をシリーズで始めます。 ----------------------------------------------------------------------------------------- ある日の肛門科の外来 Dr.OK:今日はどうされましたか? 患者さん:『ぢ』が悪いのです。 このやり取りで分かることは、患者さんの多くは『ぢ』というものは一つの病気だと思っているという事です。 ちょうど、老舗洋食や「たいめいけん」に入って ウエイトレスさん:何になさいますか? お客さん:洋食にします。 と言っているようなものです。 ここで『たんぽぽオムレツ』にします。と言えば、ウエイトレスさんもニッコリ。 話が飛びましたが、要するに『ぢ』(痔とかく)は一つの病気ではなく、肛門に関する病気の総称なのです。 代表的なものに痔核(いぼぢ)裂肛(きれぢ)痔瘻(あなぢ)の三つがあり、最初に男女とも『ぢ』の患者さんの約半数にある痔核について、ぽつぽつと書いていきます。
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posted by Dr.OKの消痔堂日誌 at 05:02Comment(0)TrackBack(0)