ネコ好き:苦手なもの

画像ネコというのは、どこか超常的な能力があるような気配を見せる事がある。 夜の部屋の中、何もない部屋の天井の隅なんかをじーっと見つめていて、小さく 「ニャニャニャッ」 の鳴いたりする。 ちょっと不気味でもある。 その反面、人間から見たら何でもないことに驚き、大騒ぎになることもある。 我が家のトムは、窓が苦手だった。 腰の高さくらいに開いている窓から、上半身だけ出して声をかけると、大袈裟に驚いた。 全身の毛を逆立て、四足をピンピンにして斜め後ろにピョンピョンピョンとはねるようにして後ずさった。 そのしぐさが面白くて、何度でも遊ばせてもらった。 こちらのネコちゃんたちも、窓が苦手なようで・・・

ネコ好き:8つの命

妹が拾ってきたシマネコ。 はじめは『借りてきた猫』そのもので、オドオドした目で何をするにも注意深い慎重派。 それが一ヶ月もすると新しい環境にも慣れ、本来の『お調子者』の性格を発揮してくれる。 様々なものに興味をもつ。 特に動くものには、あとさき考えずに突進していく。 ある夕方、その事故はおきた。 高いところの荷物を踏み台に乗って整理していた母が降りようとした瞬間、母のかかとを目指して突進。 「ゴキッ」 と鈍い音がしたように思えた。 母が足首を捻挫した音か、子猫の頭が踏みつけられた音かわからなかった。 音と同時に、子猫は頭を中心に床をクルクルと3回ほど回ってそのまま倒れた。 動かなくなった子猫を見てみると、目をつぶって小さな息をしている。 あるかないかの小さな鼻からは、うっすらと血が出ていた。 まだ医学知識を持ち合わせていない高校生OKは、それまでの人生の中で一番うろたえた。 「頭をつぶされて、陥没骨折」 かと思ったが、外見上何の変化もない。 ただ、ぐったりとして、呼びかけても反応しない。 隣のおばあさんに相談したところ 「大丈夫、ネコは8つの命があるっていうくらい、丈夫だから」 と、全く心配するような気配はない。 そういわれても、心配で心配で、夜通し添い寝して看ていた。 朝の光が差し込む頃、いつのまにか寝てしまった高校生OKは、頬にサンドペーパーでこするようなジャリっという感触を覚えて目が覚めた。 子猫が小さな舌でなめたのだった。 すかさず、そばに置いてあったミルクを注ぐと 「ぴちゃぴちゃぴちゃ」 と美味しそうに平らげ 「にゃおん」 と、何事もなかったように一声鳴いた。 それからというもの、「ネコは丈夫だ」という新たな認識が支配した。 子猫相手の、『お手々プロレス』という、いささか乱暴な遊びが始まった。

ネコ好き:美味し鳴き

雨の日に妹が拾ってきた、生後間もない子猫。 濡れた小さな体が余計に貧弱に見える。 「にゃ~」と鳴くのにも疲れたのか、「ぎ~、ぎ~」という声をだして、哀れさを訴える。 インスタントコーヒーの広口びんのキャップに、ミルクを注いで与えてみる。 ぴちゃぴちゃと、文字通り借りてきた猫のように遠慮気味にミルクをなめる。 指先を出すと「じゃりっ」という感覚。 ネコの下は、やすりの様にじゃりじゃりであることに初めて気づく。 毛も乾いて満腹になったのか、そのままスヤスヤと寝てしまった。 そっとなでてみると、「トトトトト・・・」と、まるで蛇口から水滴がたれているような音を出す。 ネコが嬉しいときに「ゴロゴロ」と喉を鳴らすというが、この子猫は「トトトトト」なのであった。 そんな控えめな生活も、いつの事やら。 一ヶ月を過ぎる頃には、鰹節まぶしご飯をバフバフ食べるようになった。 食べている最中に、背中をなでてみると 「うにゃうにゃうにゃ」と、いかにも美味しさに感激しているような声で答えるのが可愛い。 その事を、ネコ好きな友人に話すと、 「そりゃ、餌をとられまいとする警告鳴きだよ。気の荒いネコなら『フーッ!』といって、噛みつかれるぜ」 いやはや。 人間の思い込みや感情移入が通用しないこともあるんですね。

ネコ好き 第1話

画像子供の頃から、動物が好きだったけど、大人になるまでネコには興味がなかった。 友達の家で飼っているネコに声をかけても 「わしゃ、関係ないけんね~」 という態度で無視され、捕まえようものなら遠慮なく爪を立てて逃げようとするのが、いとにくし。 高校生の頃、友人のホンダ君が、両腕を縦断するような傷を作って学校に来た。 「いったい、その傷どうしたの」 「いやぁ、親父とネコ・キャッチボールしてねー」 ボールの代わりに、飼い猫をキャッチボールして受け損なったとの説明。 「ネコって、面白いぞー」 文学青年で、難解な小説をいくつも読破していたホンダ君は、 「人生を深く考えるなら、犬よりネコ」 のネコ一筋人生を歩んでいた。 折りも折り、妹が子猫を拾ってきた。 尻尾の長いシマネコ。 迷わず『トム』と命名して、かわいい鈴つきの赤い首輪をして飼い始めた。 「トーム、トム、トム、トム」 夕闇の中、チリンという鈴の音を外に聞くと、妹が勝手口のドアを開けて呼んだ。 隣のおばあさんは、『タマ』だと信じて疑わなかった。 つづく 写真は「だから東京が好き!」からお借りしています。