痔瘻は手術しても再発するか?②

画像 【単純痔瘻と複雑痔瘻】 痔瘻根治手術を行っても再発したケースで最も多いのが、痔瘻の原因となっている部位が処理できていない場合。 どうして、このような事が起こるのでしょうか? 痔瘻は肛門の中から細菌が進入して化膿が起こり、肛門の外側に膿の出口ができて、肛門内と肛門外の間にトンネルができているものが大部分です。 左の図のように、肛門内のトンネルの入り口から出口までまっすぐにつながっているものを単純痔瘻、右図のようにトンネルが曲がっていて入り口と出口の方向が違っているものを複雑痔瘻と呼んでいます。 全ての痔瘻が絵に描いたように出口と入り口がはっきりしていれば問題は無いのですが、中には入り口部分がはっきりとわからない場合があります。 痔瘻の手術の場合、多かれ少なかれ括約筋が犠牲になりますから、入り口がはっきりしないからといって必要以上にメスを入れれば括約筋の働きを損ねる恐れがあり、入り口部分に充分な処理ができない事にもなりかねません。 そういうケースで痔瘻の原因となっている入り口部分の処理が不十分となり、再発をきたしてしまう場合があると思われます。
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痔瘻は手術しても再発するか?①

【肛門周囲膿瘍切開の場合】 初診の患者さんの問診表(診察前のアンケートのようなもの)をながめなら質問する。 「痔瘻を他の病院で手術したのに、治らなかったんですね」 「そうなんですよ、手術の傷から膿が出続けるんです」 「それでは、診察しましょう。おしりを出してもらえますか」 肛門の近くに、膿が出ている小さな穴がある。 確かに痔瘻のようだが、何処を探しても手術の傷が見当たらない。 肛門鏡を使って、肛門内をくまなく調べても、傷跡がわからない。 「入院して手術したんですか」 との質問に 「いえ、日帰りで、数分で終わりました」 この一言で納得。 患者さんは、肛門周囲膿瘍の切開排膿を、根治手術だと思い込んでいたのです。 医者にとっては、ちょっと処置をするくらいの感覚でも、患者さんにとっては麻酔をされて切られたのだから、これはもう立派な手術。 「肛門周囲膿瘍と痔瘻の親密な関係 」で解説したように、この二つの病名が混同して使われている事があり、医者の方でも明確に区別して患者さんに説明していない事も多いようです。 切開排膿しただけでは大部分が痔瘻になるわけですから、この点をきちんと説明していないと、 「手術(実は切開排膿)をしたのに、治らない。ヤブ医者だ!」 なんて評判がたってしまうでしょうに・・・
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痔核は手術しても再発するか?③

【脱出する痔核の場合】 「こりゃー、切らなきゃ治りませんねぇ」 と、医学会のコンセンサスを得ているのは、脱出する痔核。 ここで気をつけなければならないのは、腫れて出ている痔核と、腫れていなくても脱出する痔核を混同しない事。 あくまで、手術適応は腫れていなくても脱出する痔核にある。 ここで難しいのは、脱出する痔核を「何処まで取るか」という問題。 取りすぎれば肛門狭窄のような後遺症が残るし、足りなければ脱出が治らない。 手術書や学会発表でお目にかかる痔核は、どれも優等生の痔核で、「ここを取ってください」とばかりに自己主張している。 実際の手術でお目にかかる痔核は、隣り合わせの痔核が中で融合していたり、極端なものは肛門全周性につながっているようなものまである。 「全部キレイに取ったら、肛門が無くなってしまう」 と考えつつ妥協点を探る。 手術も薬と同様「さじ加減」が難しい。 Dr.OKが社会保険中央総合病院大腸肛門病センターで学んだ「さじ加減」の基本は、 ①脱出してくる痔核をできるだけ小さく取る事。 ②脱出しない部分には手をつけないこと。 ③取るか取らないか迷ったら手をつけないこと。 この基本を守ることによって、再発せず機能損なわれない肛門に再生できるのが、真の名人だと思う。 手術を決心した患者さんから不安そうに 「先生、手術したら二度と再発しませんか」 と聞かれる事がある。 こんな時、胸をどーんとたたいて 「大丈夫!まっかせなさ~いっ」 と言えたら、もっと患者さんが増えるだろうにと思いながら、Dr.OKは 「現在脱出する痔核は手術でなくなりますから、再発しません。しかし、現在痔核とはいえない静脈叢が将来的に痔核となって脱出してくる事はあります。ちょうど、虫歯の治療で一箇所を治しても別のところが虫歯になる事もあるのと同じですよ。」 と答えることにしている。
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痔核は手術しても再発するか?②

【出血する痔核の場合】 私がまだ肛門科専門医ではなく一般外科として診療していた頃、痔の患者さんも治療していました。 痔から出血する患者さんを担当すると、座薬や軟膏を処方します。 たいていの患者さんは、一回か二回の通院で出血がなくなり、 「おだいじに」 ということで、一件落着。 でも、そういう患者さんも、数ヶ月すると 「また、出血しました」 といって外来を受診することが多い。 そんな事を、数回繰り返していると 「やっぱり薬では治りませんね。手術で治しますか」 といって、手術をする運びとなる。 実際に、出血だけの症状で痔を手術すると肛門の粘膜がわずかに膨らんでいる程度で、どこまでが正常で何処からが痔核なのか境界がわからない。 とりあえず大きく膨らんでいる粘膜を切除するのですが、肛門の外に脱出するわけではないので、狭い肛門の中をのぞきこむようは手術は困難を極める。 それでもどうにかこうにか手術をして無事退院。 これで、出血はなくなったと喜ぶのもつかの間、手術の傷は治っているのにまたまた出血症状が再発。 「納得いかん!」 と目で訴える患者さんを前にして、恐縮することしきり。 「出血する痔核を手術で治せないか」 という疑問を抱いて、肛門疾患のメッカ社会保険中央総合病院の研修医として勉強し始めたころ 「痔の出血は、手術の適応じゃないよ」 という先輩諸氏の話を伺い『薬で治せないものは手術』と考えがちな外科医の欠点を指摘されたようなショックを受けました。 そもそも痔核は、肛門の中にあってパッキンの役目をしている静脈叢という血管の多い部分が膨らんで症状をだすもの。 出血するからといって、静脈叢を取りすぎてしまえば下痢便が漏れたり肛門が狭くなったり、回復不能な後遺症が発生する危険性がある。 痔核と判断した静脈叢を取ったとしても、肛門に負担をかければ、残っている静脈叢から出血する事も考えられる。 この点を考慮すれば、出血するだけの痔核は薬と生活療法で症状を出さないように上手につき合っていくのが王道。 ゆめゆめ、手術でキッチリ治してしまおうと思う事なかれ!
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痔核は手術しても再発するか?①

「痔の手術は再発するから、一回ではすまないそうですね」 「どのみち再発するなら、我慢していたほうがましでしょう」 こういう質問をされる事が時々ある。 この質問に対する答えは 「一部YES、一部NO」 手術の選択が適切な判断なのか、適切な手術が行われているのか、様々な問題を含んでいる。 また、痔と一言に言っても様々な病気が含まれていて、原因も治療法も異なっている。 そこで今回から「術後再発問題」というカテゴリーを作って、いろいろな痔の病気が手術しても再発するメカニズムを解説したいと思います。 手術を決心する際の参考にしてください。 その第一回目は 【血栓性外痔核&かんとん痔核の場合】 この二つの病気は「痔核急性症」と分類されるものです。 原因は、肛門の血管の部分(痔静脈叢)で血液が固まり血栓(血豆)ができて腫れることにあります。 ここで血栓性外痔核やかんとん痔核を手術で取るべきか薬で治療すべきかの議論があります。 手術で取れば腫れている部分は無くなり、治癒までの時間を短縮できる可能性があります。 しかし、手術による傷ができるため痛みは残りますし傷からの出血も当分あるという、不都合な面もあります また、まれに手術の刺激で血栓が新たに生じ、「手術したのに腫れていることは同じ」という、残念な結果になる事もあります。 一方、薬の治療で保存的に治すばあい、痛みは数日で軽快しますが、腫れている部分が完全に引くのには数週間、大きなものでは一ヶ月くらいかかる事もあります。 では、本題に入りますが、「血栓性外痔核やかんとん痔核の手術は再発する事があるか?」 答えは「再発する事がある」です。 血栓性外痔核やかんとん痔核の手術は血栓ができて腫れている部分を取るだけですから、肛門周囲にある痔静脈叢という血管は依然として存在します。 痔静脈叢は、肛門をキッチリ占めて水ももらさないようなパッキンの役割をしているため、予防的に取ってしまうわけにはいかず、したがって手術を行っても血栓ができる可能性は残ります。
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