無念 _| ̄|○...

7月23日 全日本キック後楽園大会。 メインイベントは全日本ライト級王者サトルヴァシコバ 対 元全日本&J-NETWORKフェザー級王者増田博正のタイトルマッチ。 いつも(^^)顔の好青年、サトルバシコバ。 本名が小林悟(コバヤシサトル)で、全日本キックの顔でもあるチャンピオン小林聡(コバヤシサトシ)と一字違いなので、間違えられないようにつけたリングネームが楽しい。 一方の増田博正。 往年の名選手というのは失礼だが、御年33歳。 フェザー級から階級を上げて新たな挑戦をしている、これまた応援をしたくなる名選手である。 「どちらも、思いっきり頑張れ」 の思いと共に、試合開始。 序盤から積極的な試合展開に、場内の声援にも熱気が感じられる。 1ラウンド半ば、増田が前に進みながら膝蹴りを放ち、両者倒れこむ。 立ち上がったサトルバシコバの額に、出血がみられドクターチェック。 左の眉の内側に縦3cmほどの傷を負っている。 「とまれーとまれーとまれー」 と念力を送りながら傷を30秒ほどガーゼで押さえ込む。 「どうですか?」 レフェリーの朝武さんが心配そうに覗き込む。 ガーゼをとって傷を見ると、皮膚は切れているが頭蓋骨までは達していない。 幸い出血も止まっている。 「出血が止まらなくなったらストップだからね」 と念を押して、試合再開。 1ラウンド終了後、再度傷のチェック。 何とかパンチを当てられずにきりぬけてきたので、傷も変化はない。 「ワセリンを沢山すり込んで下さい」 セコンドに声をかけると同時に、2ラウンドのゴングが鳴った。 傷を負ったサトルバシコバ、前にもまして積極的に攻める。 その隙を突いて、増田が傷をねらって正確なパンチを繰り出す。 KOできなくても、相手選手にドクターストップが出れば勝ちである。 場内から 「増田、正々堂々と戦え!」 とヤジが飛ぶが、カットに持ち込んで勝利を得るのも、キックボクシングの一つの醍醐味であり、卑怯な手ではない。 そうは言っても、ドクターストップをかけるのを避けたいのも本音である。 双方力の限りを尽くして、勝敗が決まったほうがスッキリしている事は間違いない。 「何とかもってくれ~」 と別の意味で手に汗握る。 画像Dr.OKの願いもむなしく、4ラウンドで再度ドクターチェックが要請された。 遠めに観ていたところでは出血が増えている様子もなかったが、近くで見ると傷がばっくり開いて、下端は目頭に達しそうだ。 心配そうに覗き込む朝武さんも 「止めましょう」 と残念そうにつぶやく。 「ドクターストップ!」 宣言と同時に手で作る×印も、無念の気持ちが先立って、いつもより遠慮がちになってしまった。 Dr.OKの無念さより、サトルバシコバの無念さの方が、何倍も大きいだろう。 試合後、傷を縫合している間、痛いようにその気持ちが伝わってくる。 それでも傷の処理が終わり、いつものように 「また頑張ってください」 と挨拶するDr.OKに、笑顔を返してくれたサトルバシコバの気持ちが嬉しかった。

好きでなくては続かない

「テレビに映るから、『収入が多くて、いい暮らししてる』って思われているふしがあるんですよねー」 「僕なんか初任給7万円で、年間の休みが一週間でしたよ」   先日のキックボクシングの大会。 いつもと違う小さな会場で医務室なんて物はない。 関係者控え室でレフェリーの人たちと一緒に仕事をしながら聞いた話である。 テレビで放映される最近の格闘技の試合。 ますますショーアップされて、華やかである。 ワイドショー張りの選手取材。 派手な入場パフォーマンス。 リングサイド席の解説席には、きれいな女優さんが微笑む。 豪華絢爛な表の顔と比べて、バックヤードの仕事はジミである。 選手が力の限り闘えるよう、スタッフは全員決められた仕事を黙々とこなす。 その大部分が別に仕事を持っていて、その合間をぬって参加している。 キックボクシングの選手といえば、これまたほとんどが仕事をしながら練習に励んでリングに立っている。 でも、リングサイドで観戦でき。 選手と親しく話ができて、時には感謝までされる。 試合後にもらったいくばくかのギャラで、親しい選手も交えた飲み会を開く。 やっぱり、好きだから続いているんだろう。
posted by Dr.OKの消痔堂日誌 at 05:54Comment(0)TrackBack(0)

レフェリーストップ

スポーツの審判員は、そのスポーツがルールに則って行われるか監視し、反則にはペナルティーを課すのが主な仕事だと思う。 格闘技の審判員は、それに加えて選手の命を守るという重大な任務があり、一方的に試合を中止する権限も認められている。 24日のキックボクシングの試合では、まさにその名レフェリーぶりに、Dr.OKは鳥肌がたった。 それは、その日のファイナルマッチ、ウェルター級のランキング戦で起こった。 1ラウンド早々から壮絶な打撃戦となり、始めにダウンしたのは、小松。 クリーンヒットは免れていたため、すぐに立ち上がって試合は続行。 しかし、完全に回復はしていないのであろう。 リングサイドで観ていても、どこか動きが緩慢である。 そうこうしているうちに、二回目のダウン。 今度も、強力な一撃ではなかったので、KOとはならず試合続行となった。 二回のダウンをとられ、多くの打撃を頭部にくらっている。 いずれも『一撃必殺』の強打ではなかったので試合は続けられているが、パンチが効いているのははっきりとわかる。 ウェルター級の試合だけに、ガードが甘くなった一瞬に強打をまともにくらうと、非常に危険である。 明らかに危険だと判断できれば、ドクターストップという選択もある。 しかしドクター席からは、はっきりと観察できない。 観客はダウンシーンを期待しているわけだから、確信が持てない状態でとめるわけにも行かない。 画像そこで活躍したのがレフェリー野口大輔である。 その試合も、最後にロープにつめられた小松が連打された。 打たれるごとにガードが甘くなる。 この状態でウェルター級の選手が渾身の力を込めた体重の乗った拳がクリーンヒットしたら、救急車要請の危険性も考えられる。 連打される小松の緊張感が一瞬なくなったのを、野口は見逃さなかった。 両選手の間に割って入って、頭上に掲げた両手を大きく振った。 それと同時に、小松はしりもちをつくようにマットに沈んで行った。 勝利選手の勝ち名乗りを聞いて、観客は満足そうに会場を出て行った。 小松も、ふらつきながらも自分の足で控え室へ戻って行った。 誰もいなくなったリングで、深々と頭を下げて挨拶する野口が輝いて見えた。

親父の星 島野智広選手 

31戦12勝(1KO)14敗5分 KO率3.2%  一昨日までの彼の戦歴である。 95年3月デビューだから、11年リングに上がり続けている35歳のスキンヘッド。 決して派手な試合運びはしない。 どちらかというと地味。 はじめてキックを見る人には「つまらない試合」と思われるかもしれない。 一般の観客からの声援も多いとはいえない。 でも、道場で空手を教えているちびっ子たちが必ず観に来ている。 甲高い声で 「島野先輩、頑張れ~」 が試合中続く。 小学生から「先輩」と呼ばれる、彼の優しい人柄がうかがえる。 Dr.OKとしても、ついつい感情移入してしまう。 自分より実際はずーっと若いのだが、年齢に負けずリングに上がる姿にカンゲキしてしまう。 ここ数試合、勝ちに恵まれていない。 もちろん勝って欲しいのだが、勝てなくても続けて欲しいとも思う。 画像昨日も、地道な闘いが続き、やや有利かと思いながらドクター席から注視していた。 ドクター仲間と 「島野はスキンヘッドなのに、カットを観た事がないですね。」 なんて噂していたとたんにカット。 ドクターチェックをして試合続行になったが、それで流れが変わってしまったのか、結果は判定負けであった。 32戦12勝(1KO)15敗5分。 でも、まだまだ頑張って欲しい。 Photo by TSUN

女子キックボクシング大会

久しぶりに女子キックボクシングのリングドクターを勤めた。 数年前と比べて、技術的なレベルアップが著しいのが嬉しい。 特に圧巻だったのが、メインイベントのタイトルマッチ。 韓国のシン・ミンヒ選手が持つIKMF韓国女子フェザー級のベルトに挑戦したのが、WINDY智美(AJジム)選手。 この選手はデビューの頃からの顔なじみ。 『男まさり』とは彼女のためにあるのかというような風貌だが、いつもにこやかで心根の優しい女性である。 練習で足の指を故障したらしく、テーピングを巻いているのがちょっと心配であった。 画像その心配を覆すかのように、試合開始直後からローキックの連打。 音だけ聞いていたら、男子の試合と変わりない。 シン選手が相当の衝ダメージを受けているのがわかる。 シン選手もパンチで応戦するが、圧倒的なプレッシャーに有効打とはならない。 蹴られたフトモモ(⇒)がみるみる内出血を起こして変色していく。 皮下脂肪の厚い分筋肉へのダメージが少ないからだろうか、男子の試合なら立っていられないと思うくらいのローキックを浴びても、ひるむことなく試合は続けられた。 壮絶な打撃戦の末、WINDY智美選手は見事ベルトを奪取。 笑顔がまたいいんだなぁ(^-^)
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リングドクター悲話

仲間のリングドクターが選手に侮辱された。 試合後に、怪我をした選手の治療をしていたら、セコンドについていたほかの選手に暴言を吐かれ足蹴にされた。 試合の判定結果が気に食わない事をドクターに話かけて、そのドクターが治療に集中していて話の応対をしなかったのが気に入らなかったのか、「つかえねえ」「薮医者」「ハゲ」というような、お約束の罵声を浴びせかけた後に、ちょこんとおしりを足の裏で小突いたのだそうだ。 蹴りの被害はどうってこと無かったけど、精神的なダメージはKO級だったと思う。 ほとんど手弁当に近い報酬で、時には本当に手弁当で、選手のことを思って仕事をしているその先生は、どんなに悔しい思いをした事か想像に難くない。 Dr.OKには、幸いそういう経験はない。 むしろ、試合中にドクターチェックをしていたところ、観客席から 「大したことないだろー。続けろ続けろーー」 という野次が飛んだところ、すかさず 「無責任な事言うなーーーー!!」 と応援の野次が飛んだ事がある。 大変ありがたい、リングドクターを勇気付ける野次だった。 実生活一般となるとそうも行かない。 良かれと思ってやっていても、相手のとらえ方ひとつで酷い扱いをされる事もある。 そんな時は、 「自分は信念に基づいてやっていること。お天道様に恥じる事はやっていない。」 と自分に言い聞かせて、気持ちを落ち着ける事にしている。 それで支障があれば、それはその時の事。 自分の人生だから、自分で責任を取れば良いことだと思っている。 さぁ、今日も自分の人生を、精一杯生きよう。

流血試合で手に汗をかいた日

昨夜は新宿歌舞伎町のFACEで、全日本キックボクシング大会。 いつもやる「格闘技の殿堂」後楽園ホールと違って、医務室もなければ医務室担当の看護婦さんも当然いない。 けが人が出れば、リングドクターチーム3人で何とかするしかない。 キックボクシングの選手。 試合に出て高額のファイトマネーが出るわけではないので、怪我をして病院にかかれば足がでる。 そんな選手を無料で治療するのも私たちの役目である。 医務室が無いと聞いていたので、大量の医療器機材を持ち込んだ。 特に、キックボクシングは『肘打ち』という決まり技があるので、コメカミを強打されて傷を作る事が多い。 出血のためドクターストップになればTKO負けとなるので、選手も一発逆転の技として充分に練習している。 特に、ムエタイ戦士であるタイ人の選手。 肘にカミソリが入っているのではないくらい、首相撲(首を抱えるクリンチのようなもので、膝蹴りが効果がある)から逃れるほんの一瞬をつき、正確にヒットを入れてくる。 押し気味に試合を運んでいた日本人の選手が、一瞬の隙に切り裂かれドクターストップTKO負けとなった試合も、一度や二度ではない。 画像昨日は、そのような恐ろしいタイ人の選手は出場しなかったが、こんな日に限って大会前半から怪我人の続出。 縫合セットが次々と開封されていく。 もうこれで最後の第8試合に悲劇は起こった。 スーパーウェルター級のチャンピオンを賭けたトーナメント戦。 3ラウンドまで優勢に試合を運んでいた望月選手がバッティングで額を大きく切った。 残り時間は1分あまり。 このまま終われば判定勝ちの公算も大きいと思われた。 画像「ストップ」 レフェリーが試合を止めて、ニュートラルコーナーでドクターチェックとなる。 幸い、傷は大きいものの浅い傷だったので、圧迫する事によって出血は少なくなった。 「続行頑張れよ!」 周りの大歓声にかき消されて、望月選手意外には聞こえない声援を送る。 左目は望月選手の額を凝視し、右目は会場に表示されている残り時間を追う。 「あと50秒、あと40秒」 ぐっと握った手には、じっとりと汗をかく。 残り30秒台になって、急に出血が増え額を赤く染める。 「ドクターチェック!」 再度、ニュートラルコーナーに上ると、おびただしい出血が止まらない状態。 「ストップ」 大きく腕で×印を作って宣言する。 選手はガックリして、ひざをマットにつけて肩を落とす。 チャンピオンに一気に駆け上がれるかもしれない、彼のチャンスはむなしく絶たれた。 試合が終わって、医務室で傷の手当てが始まる。 選手を気遣ってか、みな勤めて平静をよそおう。 そんな気持ちが選手にも伝わったのだろう。 縫合が終わって 「ありがとうございました」 と挨拶をする選手には、すがすがしい笑顔も見られる。 「また、次の試合頑張ってください」 Dr.OKはいつもと同じ挨拶で答える。 勝つ事は大切だが全てではない。 君たちはこうやって、大勢の人に生きる元気を与えているのだから。

全日本キックに宮田あり

画像Dr.OKの隣に羽織袴のお笑い芸人。 ハリセンを持たせたら似合いそう・・・ というのは冗談で、こちらが全日本キックのリングアナを勤める宮田さん。 いつもはタキシードに蝶ネクタイの正統派リングアナウンサーである。 アナウンスも、昔懐かしい 「あかぁコォナーァ、全日本キックボクシング連盟、ライト級王者ぁ~、こばやしぃ~、さとぉしぃ~~」 と、いまどき貴重となった名調子を聞かせてくれる。 ここで『三菱掃除機風神』がリングの掃除をはじめたら、時代は一気に60年代にさかのぼる。 よく通る美声と舞台度胸。 知り合った頃は、リングアナというのは劇団のひとか局アナがアルバイトでやっているのかと思っていたらさもありなん。 宮田さんの経歴をきいてぶっ飛んだ。 高校生宮田は、熱烈なプロレスファン。 どのくらい熱烈かというと、地方興行は学校をサボってついていってしまう。 スターの追っかけという話は聞いたことがあるが、プロレスの追っかけというのもありなんですねー。 ある日、ジャイアント馬場が主催するプロレスの地方公演を追っかけて行った。 すでに顔見知りになっていたためか、生来の物怖じしない社交的な性格のためか、リングの設営を手伝う事になった。 これにより、さらに深みにはまった宮田少年は、追っかけの範囲も広がり、学校をサボる日数も加速度的に増え、出席日数が足りずに卒業が危ぶまれるはめに陥る。 ここで一役買ったのがジャイアント馬場さん。 あの、大きな手で小さな受話器をもって、学校長に直談判。 「おたくの宮田という生徒、卒業後うちで働く事になっていますから、よろしく!」 ガウン姿で葉巻をくわえていたかは、定かではない・・・ まさに鶴の一声、無事高校卒業を勝ち取った宮田少年の格闘技人生は始まった。 つづくかも

ドクターストップ

1ラウンド開始直後から、激しいパンチと肘打ちの攻防戦。 まぶしいほどのライトに照らされた空間には、汗のしぶきが舞う。 闘っているのは前田尚紀と石川直生。 全日本スーパー・フェザー 級のタイトルマッチである。 『闘う修行僧』と呼ばれ、いつも節目がちで黙々と努力するタイプの前田に対し、現役モデルでいつも明るい華のある石川。 それぞれに熱烈なファンがつき、会場もいつもにない熱気に包まれている。 画像1ラウンドが興奮の渦の中で終わり、前田がドクター席に近い赤コーナーに戻ってくる。 勝負はまだ互角、始まったばかりだ。 前田のスタミナもまだまだ余裕があるように見える。 ふと、前田の額を見ると、何か影のようなものが・・・。 すかさずリングに上がり、近くで見る。 画像間違いなく凹んでいる。 おそるおそる指を当てる。 そこには期待される骨の抵抗はなく、皮袋を押しているような感覚しかない。 「頭蓋骨陥没骨折だ」 頭蓋骨は額の部分では、間に空洞を挟んだ二枚の薄い骨の板になっていて、今、外側の板が割れて内部に陥没している。 今のところ、脳には影響がないが、さらに肘打ちを食らって内側の板が割れたら、脳が傷つくのは必至だ。 3分の戦いを終えて荒い息をしている選手以上に、DR.OKの心臓の鼓動は早くなった。 広い会場の中、この異常に気づいているのは自分だけだ。 前田はやる気満々。 自分の体に起こっている異変を知る余地もない。 正月の休みもなく、黙々とトレーニングに励んできた前田にTKO負けを宣言するのは、あまりにも酷のような気が一瞬よぎる。 コーナー下から、リングドクターTが心配そうに見上げる。 「どうしますか?」 「陥没骨折が疑われるから、止めようと思う」 「えっ、止めちゃうんですか。タイトルマッチですよ」 「いや、悪いけど止めさせてもらう」 命の番人として、どうしても譲れない気持ちが勝った。 大きく手で×印を作ってドクターストップを宣言した。 会場は、あっけに取られたようなざわめきに包まれる。 「説明をお願いします」 と渡されたマイクを取って口元に運ぶまでの刹那、頭の中は高速CPUのように考えがめぐる。 試合を続けたい選手二人。 試合を続けさせたいジムの面々。 試合を見たい2000人の観衆。 を一言で納得させる言葉をさがす。 言葉を間違えれば、ブーイングの嵐だ。 画像「ご覧になってわかるように、前田選手の前額部に陥没骨折の疑いがあります。今のところ脳への影響はないと思われますが、このまま試合を続けますと、命に関わる危険な状態になる事が想定されますので、残念ながらこの試合はドクターストップとさせていただきます。よろしくお願いします。」 一瞬間をおいて、パチパチパチと選手の健闘をたたえる拍手が起こった。 さらにジャストタイミングで石川のテーマ音楽がながし、ブーイングの起こる余地を完全につぶしてくれたのは、音楽係のオガワさんの機転であろう。 『勝った』 とは、ちょっと違うけど、大きな仕事を果たした高揚感とともに、足の力が抜けたような脱力感を感じた。 試合後の反省会(←はっきり言って飲み会です. σ(^_^;))でリングドクターの先輩であるDr.Ikkiが 「あれは、止めて正解でしたね」 と言ってくれた。 さすが、気配りの天才である。

おじさんの星たち

画像 キックボクシングという格闘技。 中心選手は20代。 30歳くらいで引退が噂される事も多い中、30歳を越えてデビューし活躍する選手もいる。 橋本城典選手(36歳):34歳デビュー 7戦2勝2敗3分 真後和彦選手(36歳):32歳デビュー13戦7勝4敗2分 きらめくチャンピオンも星だが、年齢をものともせず、プロとして後楽園ホールのリングに上がる選手もおじさんの星たちである。 怪我することなく、長く頑張ってほしい。

キックボクサーナースマン

画像 小宮隆司 5戦3勝(1KO)2敗のフレッシュマン。 デビュー戦ではダブルノックダウンを演じ、その後もボコボコに殴りあう積極的ファイトで人気上昇中。 そんな彼の本職は、某病院の手術室主任ナースマンである。 ひとたびリングを降りると、物静かで控えめ。 何処に、リング上で発揮される闘争本能が隠されているのか、全くわからない。 キックボクサーとして急成長中だが、責任ある仕事のため試合スケジュールがなかなか組めないのが残念。 昨夜のランキング戦にも、「先にオファーがかかっていた」とのもっぱらの噂。 代わりに出場した(という噂の)先輩選手のセコンドの、そのまた下の雑用係として、リングサイドで黙々と仕事をしていた。 『二足のわらじ』も大変だ。 幸運の女神は後ろ髪がない。 微笑んだ前髪を、ガッチリつかめ! 病院の理解があるといいですね(^-^)

大流血戦

画像 日本VSタイ・5対5マッチ、結果は5-0で日本の完敗。 内容も、3KO負け、1判定負け、1レフェリーストップの壮絶な戦いでした。 数字から見れば完敗ですが、縫合を要した怪我は日本:3-タイ:2とこちらは大健闘。 医務室は縫合待ちの選手がごった返して、試合後も暑い熱気むんむん。 一番壮絶な試合だったのは、大将戦に出場した、山本元気選手。 それまで、日本の4連敗という結果に、「最終戦こそ」と会場からの期待も大きい。 試合開始早々から、積極的にパンチで攻める山本選手。 早くも1ラウンドからダウンを奪い、会場は割れんばかりの声援と怒涛の如く床を踏み鳴らす音で、異常なまでの盛り上がりを見せる。 2ラウンドでもダウンを奪い、「このままKO!悪くても判定勝ち」と誰もが期待した。 事件は2ラウンド終了ゴングが鳴った瞬間に起こった。 なんと、ゴングの音と共に放たれたムエタイ戦士の肘打ちが、山本選手の額を切り裂いたのだ。 赤コーナーに戻ってきた山本選手の額からは、噴水のように血が噴き出している。 普通だったら、そのままドクターストップでもおかしくない出血量だ。 「ストップにしたら恨みますよ」 とつぶやく山本選手の額を、祈る思いで圧迫止血。 その後、ワセリンを傷にすり込んで、何とか3ラウンドの開始までに止血が間に合う。 3ラウンド開始と同時に、肘打ちの嵐。 一旦は止血した傷から、激しく出血が始まった。 再度、ドクターチェックが入り、コーナーで圧迫止血。 臨戦中の体にはアドレナリンが出まくり、心拍出量は増加するのだが体の表面近くの血管は収縮して、出血しにくくなる。 また、大量の汗をかくことによって血液が濃縮状態になって固まりやすくなっているのだが、あれほどの出血が1分間の圧迫で何とか止血してしまったのは、山本選手の気合の力も大きいのか。 「今度出血したら、ストップだからね」 という言葉を振り切るように、再度突進していった山本選手に容赦のない肘打ち攻撃。 ついに、3R 1‘41 で、レフェリーの両腕がその頭上で高く振られた。 医務室に直行して、傷を見る。 額の傷は見事な×印。 同じところをピンポイントでヒットされていた。 ピンチを肘打ちで切り抜ける、ムエタイ戦士の技術の高さをまざまざと見せ付けられる傷である。 縫合されながら、 山本元気選手:「今度は、絶対に勝ってやる」 藤原あらし選手:「絶対、頑張りましょうね」 お互いに、さばさばした感じで次回の健闘を誓いあう。 負けてもめげない選手の素顔を見られる、リングドクターは幸せだと思う。

うら拳

画像 キックボクシングの技に、バックハンドブロー(うら拳)というものがある。 正面を向いている選手が突然360度回転し、こぶしの甲(手のひらの反対側)で顔を狙ってヒットさせる。 ストレートやフックと比べるとパンチ力は小さいが、これで横面を張られると首を軸として頭が回転し、効率よく脳振盪を起こさせる(=KOする)事ができる。 当然の事だが、いつもこの技を出していては見破られてしまう。 あの手この手の攻防を繰り返し、ちょっとした相手の隙を狙って成功させる。 忘れた頃にやってくる技なのである。 当然の事だが、押され気味のときにこの技で一発逆転劇を演じたほうがドラマになる。 バックハンドブローの名手に、我らが金沢久幸選手がいる。 今日は後楽園ホールで、クンタップ・ウィラサクレック選手(ラジャダムナンスタジアム:スーパー・ウェルター級3位)と戦う。 ムエタイ戦士が桁外れに強い事には定評がある。 それをものともせず、果敢に挑戦する金沢選手に拍手。 パチ☆(p´Д`q)☆パチ☆(´pq`)☆パチ♪. 今日はどんなドラマを見せてくれるか楽しみ。 でも、怪我しないでねー。

頑張れ吉本光志 v(^-^)

画像 昨日のスポーツニュースは『長谷川、新井田ともに防衛 Wタイトルマッチ 』の文字が躍っていましたが、我らが全日本キックでも吉本光志がやってくれました。 吉本光志が韓国選手に4RKO勝ちで初のベルト奪取! <全日本キックボクシング連盟・海外遠征試合結果> 9月24日、韓国・城南(ソンナム)で開催された、IKMF(国際格闘技連盟)主催キックボクシング大会に、全日本ライト級2位の吉本光志(AJジム)が出場。メインイベントで、IKMFスーパー・フェザー級王者のチョン・ヒョソン(全孝成/韓国)と対戦しました。 試合は2Rまではチョンのパンチに吉本がミドルとローで返す一進一退の展開でしたが、3Rに吉本の右ローが効果的にヒットしだすと、チョンはじわじわ後退。ここを勝負と見た吉本が4R開始早々からローを連打すると、チョンは我慢しきれずダウン。 なんとかカウントぎりぎりで立ち上がるチョンでしたが、吉本は容赦なくローで追撃してさらに2度ダウンを奪い、4RKO勝ちを収めました。 なお、この試合は同団体が新設した王座決定戦として行われたため、吉本は初代IKMF東洋ライト級チャンピオンに輝きました。吉本の戦績は19戦10勝(1KO)7敗2分。 この結果により、今月は9月9日、オランダ・レーワルデンでWFCA世界スーパー・ライト級王座に就いたサトルヴァシコバ(勇心館)と吉本の、全日本ライト級上位ランカー2選手がベルト獲得の快挙となりました。 全日本キックボクシング連盟・海外遠征試合[結果] ■日時   2005年9月24日 ■会場   韓国/城南・芝生公園広場特設リング ■試合結果 <IKMF東洋ライト級初代王座決定戦/62kg契約/3分5R/ヒジ禁止ルール>       ●チョン・ヒョソン       (全孝成/IKMFスーパー・フェザー級王者/韓国)       【KO:4R1分47秒】※ローキックから3ノックダウン       ◎吉本光志(全日本ライト級2位/AJジム)