特選!Dr.OKのまじめなおしりのはなし50:大腸の検査は何年ごとに

肛門科には「おしりから血が出る」という患者さんがたくさん集まってくる。
ほとんどの場合、痔核や裂肛からの出血だけど、それ以外の病気が隠れていることも多い。
中には大きな痔核があって『即手術』。
すっかり治って患者さんは喜んでいるのだけど、その後も「何気に血が出る」とおっしゃるので、内視鏡で調べてみると直腸がんがあったなんて、笑えないことも経験する。

直腸がん以外にも直腸に炎症があって、粘膜がただれて出血することもある。組織を取って病理検査すると、潰瘍性大腸炎という診断されることもある。
そうなると潰瘍性大腸炎の特効薬を使わないと、徐々に病変が大腸全体に広がり、最悪の場合は大腸を全部摘出する手術を行う必要が生じる恐れもある。

そんなこんなで、大腸内視鏡の仕事と、肛門科の仕事と、半々くらいになってしまう肛門科も多い。

そこで、大腸内視鏡検査を行った患者さんから
「次は、いつ検査したら良いでしょうか」
なんてことを聞かれることもしばしば。

ずいぶん昔にアメリカで調査が行われ「三年に一回大腸内視鏡検査を行っていれば、大腸癌の早期発見に役立つ」というような結果が出たと聞いたが、それ以降寡聞にして大腸内視鏡の必要頻度について科学的な根拠を示した論文が発表されたという話を聞かない。

まず患者さんの医療費負担はどのくらいかというと、日本だと健康保険が使えるので、三割負担の人で7~8千円位である。
国民皆保険ではないアメリカの医療事情はどうかというと、最近ビックリするような話を聞いた。

社会保険中央総合病院大腸肛門病センターの後輩である小原邦彦先生がブログを書いているのですが、『アメリカで受ける内視鏡のおはなし』という一文を掲載していて、
「州によってことなりますが、米国での大腸内視鏡検査に関わるコストは、日本円で40万~50万、高いところでは百万円近いの金額になるそうです。」
とある。
http://ameblo.jp/obaq49/entry-11860680345.html

確かに、こんなに高額では気軽に「念のために来年もやりましょうね」なんてことは言えない。
実際のところ、日本では『何もなければ、2~3年に一回くらい検査を受けましょう』くらいの説明をする医者が多いようだが、それだってさまざまな事情で違ってくると思う。

ポリープを取ったら早期癌だった場合では、もっと頻回に検査をしないと心配。
何も見つからなくても、便が残っていたり、腸が複雑に曲がっていて隅々まで確実に観察できなかった場合なんかも、心配だからもう一回検査をしたいと思う事もある。

患者さんが非常に多い大学病院のような所では2~3年に一回もやっていたら、患者さんが多すぎで予約がなかなか取れなくなってしまうので4~5年に一回というところもあると聞く。

幸い、日本ではおしりから血が出なくても、お腹が張るとか、時々痛むとか、便の調子がおかしいとか、何らかの症状があれば健康保険を使って大腸内視鏡検査を受けることができる『世界一幸せな環境』であることは間違いない。

その、国民皆保険制度も、TPPの導入で存続が危ぶまれている。
アメリカほど高価な費用にはならないかもしれないけど、7~8千円で大腸内視鏡検査が受けられる時代はもうしばらくで、なくなるのかもしれない。

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