Dr.OKの消痔堂日誌

アクセスカウンタ

zoom RSS 特選!Dr.OKのまじめなおしりのはなし24

<<   作成日時 : 2013/05/08 01:09   >>

なるほど(納得、参考になった、ヘー) ブログ気持玉 4 / トラックバック 0 / コメント 0

『痔の手術は痛い』
『手術後、痛くて三日三晩、脂汗を流して寝ていた』
『兵隊に行ったとき、軍医に「帝国軍人なら我慢しろっ!」と言われて、麻酔なしで切られた』
『痛いのは嫌だから「沁まず、痛まず治る」と言う宣伝文句の薬を100万円も使ったのに治らなかった』

昔からどうも、痔の手術は痛みとの戦いだったようだ。
痛い手術の代表選手は、脱出する痔核(脱肛)を治療するために1882年に発表されたWhitehead (ホワイトヘッド)法と呼ばれる手術。
これは、痔核ができる部分を帯状(イラストの灰色の部分)にぐるっと切り取ってしまって、直腸の粘膜断端Aと肛門上皮の切除断端Bを輪状に縫い上げる手術である。
画像


非常に敏感で、便を出すたびに刺激される部分を細かく縫われるのだからたまったものじゃない。
昔は、「研修医の糸結びの練習のための手術」
と言われたくらい、縫う針数も半端な数ではなかった。

痛い思いをして、すっきり脱肛が治ったならまだいいけど、時に粘膜が肛門の外に飛び出してしまい常に下着が粘液や血液で汚れるという、とってもウットオシイおしりになってしまうことがある。
実際の写真は、下にスクロール






















画像

Whitehead法の反省から、痔核を縦方向に切り取ろうと1937年発表されたのがMilligan-Morgan法。
さらにそれを改良した結紮切除術が1960年代以降徐々に日本でも普及し、最近ではWhitehead手術を選択する医者は、ほぼ皆無となった。

しかし、結紮切除術にも欠点がある。
それは、切除範囲を正確に決めるためには、かなりの熟練を要する事。
大部分の結紮切除術の失敗は、切除範囲を取りすぎることにある。これは、外科医の性格や癌の治療に携わるときの経験『再発したら負け』からきていると思う。

癌の手術は、病変部をきれいに切除しても、その周囲の組織に広がっている癌細胞が残っていたり、病巣の近くにあるリンパ節に転移していたら再発してしまい、その後の治療は極めて困難なことが多い。
従って、癌の手術をするときは、『疑わしきは罰せよ』とばかりに、周囲の組織やリンパ節も徹底的に切除することが善とされている。

一方、良性疾患である痔核の手術は、癌の手術の場合と発想が全く違う。
痔核の手術では、原因になっている痔静脈叢と呼ばれる血管を切除するのであるが、どこまでが病的な痔静脈叢で、どこからが正常の痔静脈叢であるという明確な基準はない。
病的に限りなく近い痔静脈叢を残しておいたとしても、癌のようにその部分が増殖して再発するわけではない。

外科医のほとんどは、癌の治療をメインとして教育を受けているから、勢い切除の必要のない痔静脈層を切除してしまって、要するに『切りすぎ』の手術を行ってしまう傾向にある。
その結果、術後に狭窄をきたしたり、なかなか治らない難治創になったり、ウットオシイ合併症を引き起こすことがある。

『過ぎたるは及ばざるに如かず』(切りすぎは、切り足りないより良くない)と言う名言を残した故隅越幸男先生は、常々われわれ弟子に
「痔の手術なんて簡単なんだから、再発したらもう一回やらせてもらったら良いんだよ。切りすぎて後遺症を残した肛門は、いくら一生懸命手術しても二度と元の健康な肛門には戻らないのだから」
とおっしゃっていたのである。

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ
気持玉数 : 4
なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー) なるほど(納得、参考になった、ヘー)
ナイス

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
特選!Dr.OKのまじめなおしりのはなし24 Dr.OKの消痔堂日誌/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる