当直といっても救急外来をやるわけではなく、入院患者さんの対応をするだけで、寝当直といっても良いものでした。
私が卒業してから5年間修行していた小牧市民病院は、救急医療を頑張って発展した病院なので、救急外来は大変忙しく、「どんな場合も、絶対に断るな」というのが至上命令でした。
ある日、満床で患者さんを他の病院へ転送したら、翌朝院長先生から呼び出され、
「どうして、断ったんだ」
---満床で、入院させるベッドがありませんでした。
「あんた、病棟の処置室があることを知っとるだろう。」
院長が『あんた』と呼ぶときは、かなり怒っているサインで、Dr.OKも身構えた。
「処置室に寝かせて、朝まで、あんたが診とればいいじゃないかっ!!」
また、年に一度くらい『手術祭り』とも呼べるような大忙しの日があった。
当時、土曜日は半ドンで、午後3時頃ようやく帰ろうとすると、救急外来から電話・・・
「アッペ(虫垂炎)の患者さんです。」
その頃は、今のように虫垂炎を薬で治すことはあまり行われず、急な右下腹部の痛みがあって、白血球数が10000をこえるような場合は、緊急手術を行っていた。どちらかというと、ひよっこ外科医OKにとっては、執刀を任される有難い症例でもある。
「まぁ、アッペくらいならすぐに片づけて、夕食には間に合うだろう」
と思っていたら大間違い、先輩医師に指導を受けながらの手術中に救急外来から電話があって
「どうも、胃潰瘍の穿孔のようでパンぺリです。」
パンぺリというのは、広範囲の腹膜炎を起こしている状態で、患者さんは痛くておなかを抱えた姿勢(これをエビゾリと呼んでいた)で動けない。至急手術をしなければ敗血症になって致命的である。
急いで、近くに住んでいる同僚に応援をたのみ、今度はDr.OKが助手となって、2時間ほどの手術をこなした。
さあ帰ろうと着替えていると、
「先生、またアッペです。」
と連絡が入り、その後も交通事故で腸管破裂の疑いや、またまた胃潰瘍の穿孔などなど、応援追加し同僚も勢ぞろいで次々と手術をこなし、気づいたら月曜日の朝日が昇ってくるような時間になっていた。
そんな病院で、きっちりと鍛えられたので、昨晩のお泊りは当直と呼ぶのも恥ずかしいくらい。
その当時指導して頂いたS先生が、
「こんなに忙しい病院ばかりじゃないけど、これだけのことを経験したら、将来どんなに忙しくても頑張れるから」
と励ましてくれたのを思い出した。
あっ、そういえば今日は誕生日だった(^_^;)
この記事へのコメント
kuma
先生のお元気になられた様子がブログを通じて伝わってきてとっても嬉しいです。
私も降りかかってきたものに押しつぶされないように、踏ん張ってみようと思います。
ダイエット頑張って下さいね。
Dr.OK
元気になりすぎて、お調子に乗らないように気をつけます(^_^;)