無念 _| ̄|○...

7月23日
全日本キック後楽園大会。
メインイベントは全日本ライト級王者サトルヴァシコバ 対 元全日本&J-NETWORKフェザー級王者増田博正のタイトルマッチ。

いつも(^^)顔の好青年、サトルバシコバ。
本名が小林悟(コバヤシサトル)で、全日本キックの顔でもあるチャンピオン小林聡(コバヤシサトシ)と一字違いなので、間違えられないようにつけたリングネームが楽しい。

一方の増田博正。
往年の名選手というのは失礼だが、御年33歳。
フェザー級から階級を上げて新たな挑戦をしている、これまた応援をしたくなる名選手である。

「どちらも、思いっきり頑張れ」
の思いと共に、試合開始。
序盤から積極的な試合展開に、場内の声援にも熱気が感じられる。
1ラウンド半ば、増田が前に進みながら膝蹴りを放ち、両者倒れこむ。
立ち上がったサトルバシコバの額に、出血がみられドクターチェック。

左の眉の内側に縦3cmほどの傷を負っている。
「とまれーとまれーとまれー」
と念力を送りながら傷を30秒ほどガーゼで押さえ込む。
「どうですか?」
レフェリーの朝武さんが心配そうに覗き込む。

ガーゼをとって傷を見ると、皮膚は切れているが頭蓋骨までは達していない。
幸い出血も止まっている。
「出血が止まらなくなったらストップだからね」
と念を押して、試合再開。

1ラウンド終了後、再度傷のチェック。
何とかパンチを当てられずにきりぬけてきたので、傷も変化はない。
「ワセリンを沢山すり込んで下さい」
セコンドに声をかけると同時に、2ラウンドのゴングが鳴った。

傷を負ったサトルバシコバ、前にもまして積極的に攻める。
その隙を突いて、増田が傷をねらって正確なパンチを繰り出す。
KOできなくても、相手選手にドクターストップが出れば勝ちである。
場内から
「増田、正々堂々と戦え!」
とヤジが飛ぶが、カットに持ち込んで勝利を得るのも、キックボクシングの一つの醍醐味であり、卑怯な手ではない。

そうは言っても、ドクターストップをかけるのを避けたいのも本音である。
双方力の限りを尽くして、勝敗が決まったほうがスッキリしている事は間違いない。
「何とかもってくれ~」
と別の意味で手に汗握る。

画像Dr.OKの願いもむなしく、4ラウンドで再度ドクターチェックが要請された。
遠めに観ていたところでは出血が増えている様子もなかったが、近くで見ると傷がばっくり開いて、下端は目頭に達しそうだ。
心配そうに覗き込む朝武さんも
「止めましょう」
と残念そうにつぶやく。
「ドクターストップ!」
宣言と同時に手で作る×印も、無念の気持ちが先立って、いつもより遠慮がちになってしまった。

Dr.OKの無念さより、サトルバシコバの無念さの方が、何倍も大きいだろう。
試合後、傷を縫合している間、痛いようにその気持ちが伝わってくる。
それでも傷の処理が終わり、いつものように
「また頑張ってください」
と挨拶するDr.OKに、笑顔を返してくれたサトルバシコバの気持ちが嬉しかった。

この記事へのコメント

つん
2006年07月25日 12:00
ヴァシコバ選手、かなり切れてたんですね。僕の席からだとほとんど背を向けて闘っていたのでわかならなったです。増田選手の表情はよーく見えてましたが(^^)
ヴァシコバ選手は、この負けでもっと強くなるかも知れないですね!

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