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<<   作成日時 : 2006/06/17 06:19   >>

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「おしりから血の出る患者さんを集めた診療科を始めたらどうか」
昭和35年、社会保険中央総合病院大腸肛門病センター創始者の、故隅越幸男先生は考えた。

その当事の社会保険中央病院は、今からは考えられないほどの経営難。
給料の遅配が続き、外科に所属していた若き隅越先生も
「なんとかせねば」
と思っていた。
ある日、院長に呼び出されて、
「隅越君、病院も何か特徴のある診療科を持つべきだと思うのだが、どうだろう」
と、その当事まだ一般病院には少なかった脳外科と肛門科を提案されたそうだ。

脳外科は近くにに大学病院や国立病院がいくつもあるから競争が激しくなるだろう。
単に痔の治療するだけの肛門科では、街中の開業医とバッティングする。
そこで、大腸癌も常に考慮し
『痔も大腸癌も診られる』
という特殊な診療科としてスタートした。

おしりから赤い血が出る場合、ほとんどが痔核や裂肛からの出血である。
しかし、指がほんの少し届かない直腸に癌があって出血している事もまれにある。
肛門科の医者なら、
「長いあいだ座薬で治療していた患者さんが、実は直腸癌だった」
とか
「半年前に脱肛がひどくて即手術になった患者さんが、実は直腸癌も合併していた」
というのは、一度ならず経験するところであろう。

そこで隅越先生が多用したのが、直腸鏡という直径2pほどの金属の筒。
広く普及していた直腸鏡は、乾電池を使った豆電球で見るものが多く、視野が暗くてよく見えない。
そこで隅越先生は病院出入りの器械屋さんに注文し、今では大腸内視鏡に採用されている強力な光源を内視鏡と同様にグラスファイバーのワイヤーで誘導し、明るい視野が確保できる直腸鏡を作ってもらった。
まだ内視鏡の普及していない時代、この金属の筒で行う簡単な検査で、直腸癌を見つけられて救われた患者さんがどれだけいる事だろう。

最近は大腸内視鏡が比較的簡便に行われるようになったため、
「直腸鏡の利用価値はあまりない」
と考える医師もいるようだ。
しかし、前もって下剤を飲む必要もなく、肛門の診察に続いてわずか1分ほどで人工肛門になるかもしれない直腸癌の恐怖から開放されるわけである。
ちなみに、料金は3割負担の人で約1000円。
本当に、利用価値がないと言えるだろうか。

社会保険中央総合病院大腸肛門病センターには、隅越先生の置き土産とも言える直腸鏡が今でも20本以上並んでいる。


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「直腸鏡」について
「直腸鏡」について 感動のblogです。 医療において、こだわってこだわり過ぎるということは無いと思います。誰だって、健康でいたい。まして、市と直面する事態は避けたい。もし、癌だとしても早期発見&早期治療で死の恐怖からは救われたい。 ...続きを見る
クリニック開業コンサルタント 椎原正
2006/06/17 23:08

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