Dr.OKの消痔堂日誌

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zoom RSS ほんとに最後の病棟回診

<<   作成日時 : 2006/03/25 00:30   >>

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いつものように10時ジャストにポケットベルがなった。
病棟で患者さんが待っている。
なかなかこないエレベータがもどかしい。
急いでいる時に限って行ってしまったばかりとは、マーフィーの法則を思い出した。

7階東病棟で降りると、診察室前の廊下には患者さんが数人長いすにかけている。
診察室に入ると、3つのベッドそれぞれに患者さんが横たわっていた。
すでに数週間前から執刀はしていないので、自分の担当の患者さんはいない。

いつものように精一杯の明るい声を出して
「お待たせしました〇〇さんですね」
という挨拶から始める。
この『お待たせしました』の一言。
研修病院だった小牧市民病院の余語院長に教わった。
赤字で閉鎖の方針だった病院を建て直して、日本一の黒字病院にした院長が、職員に厳しく徹底していた接遇方法だ。
意外に、『患者様』という対応をしている割には、医者の『お待たせしました』の一言を聞くことは少ない。

「どうですか、傷は痛みますか」
から始まり、排便の状況や出血の程度を型どおり質問する。
「傷もきれいですし、腫れもほとんどなく、順調な経過です」
と患者さんを安心させる言葉も忘れない。
もう一言「何かお困りの事はありませんか」と全員に尋ねたいのだが、なかなかそこまで余裕がない。
2時間くらいの間で、70人もの診察を済ませなくてはならないからだ。

今のご時世、ここでも看護師さん不足の影響がある。
病棟の重症患者さんが多くなると、診察につける看護師さんが少なく、医師3人の診察に1人しか看護師さんがいない状況も。
でも、そんなときにイライラしても始まらない。
「ゆったりやろうよ」
と自分に言い聞かせて、休み休み診察を続けていく。

一通りの診察室での回診が終わってから、個室を訪問する。
たった一人、自分が去年執刀した患者さんが再入院している。
退院を見届けることなく自分が病院を去るのに、戸惑いを感じる。
「今日で最後になりました」
「先生、本当にお世話になりました」
「退院までお付き合いできなくてすみません」
「私も転院することになりましたから、先生も新天地で頑張ってください」
お互いに、近い将来訪れるであろう過酷な未来は見ないことにしているのがわかる。

部屋の外まで見送ってくれた患者さんの奥さんが
「先生、本当にありがとうございました」
と、何度も何度もお辞儀をされるのに戸惑いながら足早に病室を去った。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
先生 長い間ありがとうございました。
先生の,患者様を思いやるお気持ち,
丁寧にひとりひとり診察する姿。思い出しました。
診察時間の限られる中,一言でも患者様に安心して
いただける様かける言葉。はやく終わらせることが全てではなく、患者様に満足していただけるよう関わることの大切さを学ばせて頂きました。ありがとうございました。
つちこ
2006/04/01 02:33
いつもいつもご支援いただき、ありがとうございました。
今後も、「患者さんと友達になること」を目標に、診療に励んでいきたいと思います。
Dr.OK
2006/04/01 05:36

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