Dr.OKの消痔堂日誌

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zoom RSS ほんとに最後の開腹手術

<<   作成日時 : 2006/03/23 06:20   >>

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「おっくん、最後に手伝ってくれる」
先週の朝のミーティングで、いつもと変わらぬ穏やかな声でサハラ先生が言った。
大腸癌手術の助手の依頼である。
「思い出話でも語りながらやろうよ」
「はいっ!」
いつもと同じ、返事は「はいっ!」である。

手術室に入る。
患者さんはすでに麻酔をかけられ、おなかを広く出して横たわっている。
昔にやった別の手術の傷跡が痛々しい。
壁にかかったレントゲン写真を、研修医の先生が見ている。
「十二指腸との境目がはっきりしないのが、ちょっと心配ですね」
最悪の事態で手術で取ることができない場合を考えると、執刀医は心に重みがずっしりと感じられるものだ。
もうすでに、そういう重みを感じる事のない自分が、ちょっと申し訳ないような気がする。

サハラ先生もやってきて、本日の手術チーム3人がそろった。
早々に手を洗って手術ガウンを着る。
薄いゴム手袋を両手にはめて、助手の位置に立った。
「では始めましょう」
サハラ先生の持ったメスが、患者さんの傷跡をたどって走る。
小さな出血を止めながら、あっという間に腹腔内に達して腸が見えた。

始めて開腹の手術に立ち会ったのは医学部の実習であった。
腸が見えた瞬間、
「カエルの解剖の臭いだ」
と、人間であってもカエルと同じ生き物の一種なんだと、認識を新たにしたものだ。
そんな敏感な嗅覚も、慣れというものは恐ろしいもので、いつしか何も感じなくなってしまった。

人のお腹の中を見るのは、いったい何人目だろう。
3000人は軽く突破しているだろう。
そんな、非日常的な体験も今日限りである。

手術はいつもながら、淡々と正確な操作が続く。
血管のないところを選んで切っていくので、出血はほとんどない。
Dr.OKが目指していた手術技術である。
最近、少し見えてきたのを途中で辞める事になったのが、少し残念な気がする。
自分が、本当に手術が好きで、人より上達する事が人生最大の目標である事が再認識される。

癌は、幸いにも周囲との癒着もなく、2時間ほどで手術は終わった。
最後の開腹手術だから、何か感慨深いものがあるのかと思っていたら、手術中は手術に夢中で他の事を考える余裕がなかった。
やはりDr.OK、外科医である。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
WBCの決勝戦に挑む選手達の姿と手術室に臨んでいるサハラ先生とDr.OKの姿がリンクしました。最高の技術、男たちの友情、etc.…感動しちゃってます。
へぼ
2006/03/23 09:52
最高の技術を目指してきた「情熱」。
ドクターとしての志の高さ。
インターネットを活用する先見性。
いつも、尊敬しております。
シイハラ
2006/03/24 01:11

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