「一週間に一度で充分」
と豪語する。
聞くところによると、幼少時代英国ですごし、かの地では毎日風呂に入る習慣はないそうだ。
彼の場合は後天的風呂嫌いだが、猫属は概して風呂嫌い遺伝子を持っているらしい。
特に、三代目トム君がすごかった。
猫というのは、毎日丹念に毛づくろいしているためか、気になるような体臭はなく、それまで猫を風呂に入れた経験はなかった。

よくよく見ると、ノミではないか!
トム君を押さえつけてしげしげと見ると、柔らかい猫毛のジャングルを縦横無尽に這い回るノミの大群。
「猫ノミは人を咬まない」
なんて話もあるが、どうも最近虫に刺されることが多いと思っていた。
お風呂に半分くらいお湯を張って、トム君を拉致連行。
異様な雰囲気を察したか、風呂の入り口で早くも爪を立てて抵抗する。
その後は阿鼻叫喚。
ぬれた毛の中に潜んでいるノミを一匹づつ、先のとがった解剖用のピンセットでつまみ出す。
人間的にはすっかりきれいになった体を、丹念に毛づくろいするトム君。
いつもより上目遣いで、恨めしそうに訴えていた目がかわいかった。
*写真はWIND-MASTERさんからお借りしました。
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もゆ