
「フーッ、ギャギャギャギャギャ」
軒下で、ネコの喧嘩だ。
外はまだ、薄明かり、
どうもうちのネコは、早朝の決闘が好きのようだ。
「バタバタバターーーー」
取っ組み合いの末、遠ざかっていく足音。
「なお~ん、なおお~~ん」
野太い声が、勝ち誇ったように響く。
窓から外を見ると、どこかの大きな黒猫が駐車してある車の下に向かって吠えている。
「すわ、トムのピンチ」
あわててセーターを着こんで、玄関を飛び出し現場へ急行した。
黒猫はこちらをチラッと一瞥し、文句ありそうな顔で逃げていく。
現場到着と同時に
「トォーム、トム、トム、トム」
と車の下に向かって声をかける。
しばらく時間をおいて、トムがのったりと車のしたから這い出してきた。
何事もなかったような顔つきで
「遅かったじゃないか」
と言っているような不遜な態度。
両手で抱き上げて、肩に担いだ。
朝露でぬれている胴体が、首筋に冷たい。
3歩も歩かないうちに、ゴロゴロゴロと喉を鳴らす音がした。
一応、トムもホッとしているようだった。
写真『まいりました』はノラネコ生活様から、お借りしました。
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