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「先生、旨い焼肉屋が浅草にあるんですよ。一度行きましょう。」 椎名さんに誘われた。 端正な姿かたちからは、ホテルの三ツ星レストランを候補に上げると思いきや、さすがに営業を生業としてきた人。 守備範囲は「赤ちょうちんから、赤坂の料亭まで」と、この上もなく広い。 「『場所』中なら、お相撲さんもよく来る店なんですよね」 浅草の街を紹介されつつ案内されて行った場所は、大通りから入った路地の中。 「小ぎれい」とはお世辞にも言えないけど、入っただけで「正解であった」と直感できる雰囲気がある。 10脚ほどの小さなテーブルに、それぞれのせられた七輪。 ここで大勢のお相撲さんが、大きな背中を丸めて食べている図を想像すると微笑ましい。 先客が出て間際なのか、あわただしく片付けたテーブルに案内された。 隣とくっつきそうな狭い空間に何とか体を押し込みながら、待ってましたとばかりに椎名さんが質問する。 「それで、上の先生の反応はどうでしたか?」 「岩田先生も、佐藤先生も特に反対はしませんでした。」 「そうですかぁ」 安堵のため息まじりで、出されたおしぼりで丁寧に顔を拭く。 冷え冷えのジョッキで乾杯し、通常の3倍はあろうかと思われるカルビを焼きながらさらに話は進む。 「それじゃぁ、決まったも同然ですね」 「そうだねぇ」 この一週間で、『開業』の二文字がどうも他人事のようには思えなくなってきていた。 クリニック開業となると、今まで医療のことだけを考えればよかったものが、今度は事業を経営していく事も考えなくてはいけない。 経済的なことはもちろんだが、一緒に働くスタッフの人生も自分の経営手腕にかかってくるのだから、これは責任重大だ。 「それで、クリニックっていうけど、痔の入院手術をバックアップしてくれる病院がいるよね」 元研修医仲間で、高円寺で大腸肛門クリニックを開業している内田先生の話を思い出した。 内田先生によると、「私が出張する近くの病院で入院手術をしましょう」と患者さんに説明すると嫌がられる場合が多く、がんばって日帰り手術しているとの話。 「遠い病院へ行ってくれと言っても、患者さんが納得するかなぁ」 慎重派のDr.OKは、あらゆる可能性を検証しなければ前に進められないという欠点がある。 「それは大丈夫ですよ、バックアップの病院もめぼしがつけてあります。シャトルバスを走らせるなんてどうですか。」 「シャトルバスって?」 「患者さんはクリニックに集合してバスで病院まで送る。手術をして退院日にはバスでクリニックまで送り、奥田先生の診察を受けて解散」 「なるほど・・・。頻回に使うようになれば、運転手も必要だね」 「運転手を常備するというのは高くつきますね」 「アルバイトで、キックボクシングの選手を雇うというのはどうだろう」 Dr.OKがリングドクターを務めているキックボクシングの団体がある。 選手は皆、仕事をしながら練習し、後楽園ホールのリングに上がって闘っている。 チャンピオンになったとしても、それだけではメシが喰えないという環境。 「先生、病院で使ってくれませんか」 なんて、試合の後の飲み会で冗談で言われる事もしばしばある。 そういう選手を応援しようとする気持ちがなくては、リングドクターは務まらない。 これはリングドクターのみならず、選手の仕事を新たに作る事ができるチャンスかもしれない。 ★Dr.OK開業物語はフィクションです。初めてお読みになる方は、こちらをご一読ください。 |
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| 内 容 | ニックネーム/日時 |
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巣鴨開業物語、いつも楽しみにしております。 |
T.N.(三鷹) 2006/02/12 10:05 |
シャトルバスなんて先生ナイスアイディアですね。しかもボディーガード付、安心できます。先生の暖かさに涙がでました。患者様たくさん来るといいですね(困っている人、悩んでいる人たくさんいますから(^^)V |
アグネス 2006/02/12 19:23 |
いつもご愛読いただいて、ありがとうございます。 |
Dr.OK 2006/02/13 16:41 |
連載いつも楽しみにしています。 |
yagucci 2006/02/13 19:33 |
大腸検査のお申し出、たいへんありがたいです。 |
Dr.OK 2006/02/14 06:05 |
お返事有難うございます。 |
yagucci 2006/02/15 09:16 |
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